[2020_05_22_02]女川原発5〜30km圏の住民到着が最長3日 宮城県、避難計画見直し急ぐ(河北新報2020年5月22日)
 
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女川原発5〜30km圏の住民到着が最長3日 宮城県、避難計画見直し急ぐ

 宮城県は21日、東北電力女川原発(同県女川町、石巻市)の重大事故時に、5〜30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)の住民が圏外の避難先へ到着するのに最長で約3日かかるとの試算結果を公表した。5キロ圏内の予防的防護措置区域(PAZ)からの避難時間も最長で3日弱と推計。どちらも経路変更などの改善策を講じることが条件で、現状のままでは5日以上要する恐れもある。県は関係市町と連携し、避難計画の見直しを急ぐ。
 同日の県議会環境福祉委員会で、鈴木秀人環境生活部長は(1)交通渋滞の緩和(2)避難経路の変更−といった新たな対策が時間短縮につながると強調。「人口の増減などを踏まえ、避難の実効性を高める取り組みを継続する」と理解を求めた。
 県が示したPAZ、UPZからの避難時間は表の通り。渋滞緩和などの対策後は対策前に比べ、UPZからの移動時間が1〜5割短くなり、PAZからは半分程度の時間で避難を終えると見込んだ。
 試算は重大事故で原発から出た放射性物質が大気の流れに影響を受けると想定し、陸側への影響が大きい3風向で実施した。住民が一斉に避難した場合、除染や安定ヨウ素剤配布の拠点となる「避難退域時検査場所」に車両が集中するとの指摘が裏付けられた。
 PAZとPAZを通って避難する区域(準PAZ)の住民は順調なら、30キロ圏外の避難先まで6時間で到着すると予測。重大事故時の当初は屋内退避を求められるUPZの住民全員が一気に移動した場合、避難完了までにその10倍以上の時間を要するという。
 県はスムーズな避難に向け、UPZの住民に冊子やチラシを配って屋内退避を周知する考えだ。
 試算は県が2019年度、県地域防災計画(原子力災害対策編)や関係7市町の避難計画の充実を図るために実施した。
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