今回想定された津波に襲われそうな原発は建設中も含めると7カ所あるが、浸水する深さなどの具体的なデータは示されなかった。
　ただ、廃炉作業が進む東京電力福島第1原発（福島県双葉町、大熊町）だけは現在の対策で備える津波より、内閣府の想定の方が高くなる可能性が出てきた。引き波で汚染水が海へ流れる恐れがあり、対策の見直しが必要か検討を迫られそうだ。
　想定では、福島第1の6号機（双葉町）近くで、町内で最大となる高さ13・7メートルの津波が来ると評価された。５、6号機は標高11メートルの高台に建っているが防潮堤はない。
　大熊町側にある1〜4号機は日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震を想定した防潮堤（海抜約11メートル、全長600メートル）を建設中で、建屋の開口部を塞いで内部に浸水しないような対策も進めている。
　今回の想定に、東電は「試算の条件や計算方法などを分析し検討しなければ、追加対象が必要かどうかも分からない」としている。【塚本恒】