[2020_02_26_05]福島第1原発所長「廃炉段階の状態、まだ分からない」 事故9年、内部状況なお不明(毎日新聞2020年2月26日)
 
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福島第1原発所長「廃炉段階の状態、まだ分からない」 事故9年、内部状況なお不明

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故を受け、18年4月から現場で廃炉作業の指揮を執る東電ホールディングス執行役員の磯貝智彦・同原発所長(59)が毎日新聞のインタビューに応じた。廃炉後の敷地の姿について「これから(の作業に応じて)見えてくるもの」と答え、現段階では見通せていないとの認識を示した。
 通常の原発の廃炉では、建屋を解体するなどして更地にするまで30〜50年ほどかかる。一方、政府・東電は工程表で福島第1原発の廃炉完了までの期間を30〜40年としている。磯貝所長に工程表上での「廃炉」の意味を尋ねると「現段階でどういう状態(を指すの)かは、まだ分からないのが実態と思う」と応じた。
 理由として、事故から間もなく9年になるが、炉心溶融(メルトダウン)した1〜3号機の原子炉格納容器や原子炉内部の状況が、まだ分かっていない点を挙げた。
 その上で、核燃料などが溶けた「燃料デブリ」の試験的な取り出しが、工程表通り21年に始められたら「徐々に(炉内の)状況が分かってくる」と指摘。廃炉後の姿については、今後の原発内の状態を踏まえながら「国、地元の方々と議論をしながら決まっていく話」と述べた。
 廃炉完了までの期間については「技術の進歩で短くする方法も生まれるかもしれない。難しい課題があれば、技術力が足りず少し時間がかかることもあるかと思う」と話した。
 廃炉後の姿を巡っては、日本原子力学会が「廃炉後がどうなるかで、廃炉までの期間や放射性廃棄物の量が異なってくる。どんな姿を目指すか議論を始める時に差し掛かっている」としている。【岩間理紀】
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