[2019_12_17_04]福島第1原発 排気筒解体完了を来年5月に延期へ 装置トラブルで遅れ(河北新報2019年12月17日)
 
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福島第1原発 排気筒解体完了を来年5月に延期へ 装置トラブルで遅れ

 東京電力は16日、福島第1原発1、2号機の共通排気筒の解体工事で、来年3月末を予定していた完工時期を5月上旬に延期する方針を明らかにした。解体装置のトラブルが相次ぎ、作業が遅れていた。解体工事は地元企業が担っている経緯もあり、専門家からは東電の指導力不足を指摘する声が出ている。
 東京都内であった国の特定原子力施設監視・評価検討会で東電の担当者が説明した。担当者は「悪天候や装置トラブルなどにより完了時期が変動する可能性がある」とも語り、さらなる遅延も示唆した。
 解体工事は高さ約120メートルの排気筒の上半分を、解体装置の遠隔操作で全23ブロックに分けて輪切りにする。今月上旬までに4ブロック目までが終了した。
 16日には5ブロック目の作業に着手した。東電は10ブロック目までの解体を来年2月上旬までに終え、作業で使っているクレーンを点検した後で同月下旬から再開させるという。
 8月上旬の工事開始直後から受難続きだった。筒身を切断するカッターが作動しなかったり、遠隔操作の通信の不具合が発生したりするトラブルが続出。当初2日間で終える予定だった1ブロック目には1カ月を要し、4ブロック目では高線量下で作業員が人力で切断する失態を演じた。
 工事は福島県大熊町のプラント建設会社エイブルが請け負った。国や東電はエイブルを成功事例にして地元企業の参画を促し、浜通り地域での廃炉産業集積の加速を狙ったが、一連のトラブル続出で「黄信号」がともった。
 県廃炉安全監視協議会専門委員の長谷川雅幸東北大名誉教授(工学)は「東電が技術面でエイブルに適切な助言を行っているかどうかに疑問がある。大手ゼネコンではない地元企業を廃炉に参画させるためには東電自身が技術力を高め、指導していく必要がある」と話す。
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