[2019_09_11_08]原発 耐震審査見直し 規制委方針「未知の震源」対策(東奥日報2019年9月11日)
 
 原子力規制委員会は11日の定例会合で、原発の耐震性の審査手法を一部見直す方針を決めた。過去に地震を起こした断層のうち、ずれなどの痕跡が地表に現れていない「未知の震源」で再び地震が起きた場合、どれくらい揺れるかの計算手法を変更。再稼働済みを含む全国の原発に適用し、電力会社に対し、新手法での再審査を受けるよう要求する。直ちに運転停止は求めない。
 原発の耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の引き上げや、耐震対策の強化を迫られる可能性もある。敷地周辺に活断層などのない九州電力の玄海原発(佐賀県)や川内原発(鹿児島県)は追加対策が必要になるとの見方がある。
 更田豊志委員長は会合後の記者会見で「(新手法での)評価には時間が必要」と述べ、再審査や耐震対策にかかる時間を考慮し、一定期間は運転停止などを求めないという猶予を設定する必要があるとの見解を示した。
 今後、電力会社の考えを聞き、意見公募を経て来年2月ごろに関連規則などを改正する。
 東京電力福島第1原発事故を受け、国は地震や津波に関する審査を厳格化。主に原発周辺の活断層と、未知の震源による地震の両方を想定し、基準地震動を決めてきた。
 しかし、未知の震源の情報は不足しており、これまでは2004年に北海道で起きたマグニチュード(M)5・7の地震を解析し、全国の原発の審査に準用していた。そのため規制委は外部専門家を交えた検討チームを設置し、未知の震源による過去の地震のうちM5・0から6・6を観測した約90件の記録を基に統計処理を実地。未知の震源の影響を評価する新たな計算モデルをまとめた。
 取材に対して、東北電力青森支店の担当者は「東通原発については今後の審査項目となっており、をの審査の時点で最新の知見を取り入れて原発への影響を評価していきたい」と述べた。大間原発を建設中の電源開発(Jパワー)の担当者は「事業者としては(新たな審査手法の)中身が正式に確定していない以上、なんとも言えない。議論の行方を見守っていく」と語った。
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