[2019_09_11_04]遠のく水産物禁輸解除=韓国向け、処理水「放出」発言で(時事通信2019年9月11日)
 
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遠のく水産物禁輸解除=韓国向け、処理水「放出」発言で

 原田義昭環境相が東京電力福島第1原発から出る処理水について「(海への)放出しかない」と発言したことで、韓国による福島など被災8県の水産物の禁輸解除はさらに実現が遠のきそうだ。日韓関係の悪化で交渉が滞っている局面での発言だけに、禁輸措置が「塩漬け」になる可能性さえ出ている。
 韓国は原発事故をきっかけに、放射性物質の懸念があるとして青森、岩手、福島、宮城、茨城、群馬、栃木、千葉8県の水産物の輸入を停止。日本は、安全性を示すデータを示しながら禁輸解除を働き掛けたが聞き入れられず、2015年、世界貿易機関(WTO)に提訴した。
 一審に相当する紛争処理小委員会は禁輸を「不当」として日本の主張を認めたものの、最終審に当たる上級委員会は今年4月、日本の逆転敗訴とする判断を下した。これにより禁輸措置は継続されることになった。
 日本はその後も、「引き続き撤廃を求めていく」(吉川貴盛農林水産相)としていたが、徴用工問題に端を発した日韓関係の急速な冷え込みにより、協議は停滞。今回の環境相発言を受け、農水省内では「8県の水産物へのイメージダウンは避けられず、(禁輸解除は)当面絶望的」(幹部)と諦めに似た雰囲気が漂っている。
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