[2018_12_04_09]地球環境_ロンドン条約及びロンドン議定書(外務省2018年12月4日)
 
参照元
地球環境_ロンドン条約及びロンドン議定書

 
廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約(通称:ロンドン条約)(Convention on the Prevention of Marine Pollution by Dumping of Wastes and Other Matter(London Convention: LC)、
1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の1996年の議定書(通称:ロンドン議定書)(1996 Protocol to the Convention on the Prevention of Marine Pollution by Dumping of Wastes and Other Matter, 1972(London Protocol: LP))

 1 背景
 
(1)「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(通称:ロンドン条約)は、1972年12月にロンドンで採択され、1975年8月に発効した(我が国は1980年10月に同条約を締結)。同条約は、水銀、カドミウム、放射性廃棄物などの有害廃棄物を限定的に列挙し、これらの海洋投棄のみを禁止していた。
(2)その後の世界的な海洋環境保護の必要性への認識の高まりを受けて、同条約による海洋汚染の防止措置を更に強化するため、「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の1996年の議定書」(通称:ロンドン議定書)が1996年11月にロンドンで採択され、2006年3月に発効した(我が国は2007年10月に同議定書を締結)。同議定書は、廃棄物等の海洋投棄及び洋上焼却を原則禁止した上で、例外的にしゅんせつ物、下水汚泥など、海洋投棄を検討できる品目を列挙するとともに、これらの品目を海洋投棄できる場合であっても、厳格な条件の下でのみ許可することとした。
(3)ロンドン議定書は、2006年、2009年、2013年と3度にわたって改正された。このうち2006年の改正(二酸化炭素の海底下地層への処分(貯留)を可能とするもの)は発効済みであるが、2009年の改正(海底下地層への処分(貯留)目的の二酸化炭素の輸出を可能とするもの)及び2013年の改正(海洋地球工学行為規制に関する改正)は未発効である。
(4)事務局は国際海事機関(International Maritime Organization: IMO)本部(ロンドン)。
(5)2018年11月現在、ロンドン条約の締約国は87か国、ロンドン議定書の締約国は51か国(米国は議定書を未締結)。

2 ロンドン条約及びロンドン議定書の概要
(1)ロンドン条約の概要

ア 本条約は、前文、本文22か条、末文及び3つの附属書からなる。(条約テキスト: 和文1(PDF) 別ウィンドウで開く・ 和文2(PDF) 別ウィンドウで開く・英文(PDF)別ウィンドウで開く)
イ 本条約は、人の健康に危険をもたらし、生物資源及び海洋生物に害を与え、海洋の快適性を損ない又は他の適法な海洋の利用を妨げるおそれのある廃棄物その他の物の船舶等からの投棄による海洋汚染の防止を目的としている。
ウ 主要な規制事項は次のとおり。
(ア)附属書Iに掲げる廃棄物その他の物(注1)の投棄を禁止
(注1):有機ハロゲン化合物、水銀及び水銀化合物、産業廃棄物、放射性廃棄物等を含む
(イ)附属書IIに掲げる廃棄物その他の物(注2)の投棄には、事前の特別許可を要する。
(注2):砒素、ベリウム等を相当量含む廃棄物、コンテナ、金属くず等の巨大廃棄物等で漁労や船舶航行の重大な障害になるもの等を含む
(ウ)他の全ての廃棄物その他の物の投棄には事前の一般許可を要する。
(エ)いずれの許可も、附属書IIIに掲げる全ての事項(物の特性及び組成、投棄場所の特性及び投棄の方法等)について慎重な考慮が払われた後でなければ与えてはならない。

(2)ロンドン議定書の概要

ア 本議定書は、前文、本文29か条、末文及び3つの附属書からなる。(議定書テキスト:和文(PDF)別ウィンドウで開く・英文(PDF)別ウィンドウで開く)
イ 本議定書では、ロンドン条約による海洋汚染の防止措置を一層強化するため、船舶等からの廃棄物等の海洋投棄を原則として禁止し、例外的に投棄が認められる場合においても厳格な条件の下で許可することとなった。また、議定書の遵守義務に伴い、各々の廃棄物の海洋投棄が海洋環境にもたらす影響を予測・評価し、その上で規制当局が許可を発給する仕組み等を締約国が整備することが必要となった。
ウ 主要な規制事項は次のとおり。
(ア)廃棄物その他の物(附属書Iに規定するもの(注3)を除く。)の船舶からの海洋投棄を禁止。
(注3):しゅんせつ物、下水汚泥、魚類残さ、船舶・プラットフォーム、不活性な地質学的無機物質、天然起源の有機物質等
(イ)附属書Iに掲げる廃棄物その他の物の投棄は、附属書II(廃棄物評価枠組み(Waste Assessment Framework)といわれるもの)に基づく許可を必要とする。
(ウ)廃棄物その他の物の海洋における焼却を禁止。
(エ)内水における議定書の規定の適用または内水における効果的な許可及び規制のための措置をとることを義務づける。
(オ)予防的取組の適用及び汚染者負担原則の促進について規定。

3 締約国会議

(1)毎年9月中旬〜11月上旬、ロンドンのIMO本部において、ロンドン条約及びロンドン議定書の双方の締約国会議を合同で開催。第41回ロンドン条約締約国会議(LC)及び第14回ロンドン議定書締約国会議(LP)は、2019年10月7日(月曜日)から11日(金曜日)にかけて開催予定。
(2)毎年3〜5月前後に科学グループ会合が開催される。
(3)これまで行われた締約国会議の主要議題・決定内容等については、次のとおり。

(中略)

4 我が国の取組

(1)我が国は、ロンドン条約の定める内容を「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」(海防法)及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃掃法)によって国内実施してきている。
(2)ロンドン議定書の締結に際し、その国内実施のため、海防法を2004年に改正し、海洋投入処分の許可制度等を導入するとともに、廃棄物の洋上焼却を禁止した。
(3)さらに、二酸化炭素の海底下貯留に係る許可制度を導入するため、2007年5月に海防法を再度改正している。
(4)加えて、我が国から遵守グループに対して委員を派遣し、ロンドン条約及びロンドン議定書の遵守状況の評価に貢献している。

(後略)


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