[2018_12_26_03]<女川原発>2号機審査5年 終盤足踏み「合格」遠のく 東北電、対応に不備と規制委指摘(河北新報2018年12月26日)
 
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<女川原発>2号機審査5年 終盤足踏み「合格」遠のく 東北電、対応に不備と規制委指摘

 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の新規制基準審査は27日、申請から5年になる。東北電は2020年度以降の再稼働を目指しているが、原子力規制委員会が対応の不十分さを指摘。終盤に入った審査は夏から年末まで一部を除き中断していた。来年1月に審査を終えたい同社の目標は一定期間、先延ばしとなる見込みだ。
 「基準適合への分析と論理構成が不十分だった。審査スケジュールを遅延させないようにする」
 今月20日にあった年内最後の審査会合で、東北電の担当者は審査対応の不備を陳謝した。規制委の山中伸介委員は「資料の完成度を高めてほしい。担当間で情報共有しないとまた最初からやり直しが出てくる」と苦言を呈した。
 女川2号機の審査は地震・津波分野がほぼ終了。設備分野の議論が進んだ7月、東北電は来年1月に審査を終えたいとするスケジュールを示し、来春にも規制委から事実上の「合格」が出る可能性がいったんは浮上した。
 終盤に差し掛かった審査は突然足踏みする。規制委は7月末、他原発の対応に追われ審査の一部をストップ。10月には審査が先行する同じ沸騰水型炉(BWR)との類似点や相違点など東北電の分析不足を指摘し、追加資料を提出するまで設備分野の重大事故対策などの審査中断を宣言した。
 先行炉との比較を巡って東北電は、東京電力柏崎刈羽6、7号機(新潟県)を対象に設定。日本原子力発電東海第2(茨城県)は参考にとどめたため、津波や炉心損傷、外部火災の各対策で東海第2の知見を見落とした。
 「こちらの指摘を受けてから持ち帰って対応するといった進め方」(規制委)も消極的と受け止められ、度重なる審査延長を招いた。
 11月28日、東北電は規制委に追加資料を提出した。異例の総点検により補足説明資料は約2万5000ページ、比較表は約1万7000ページに及ぶ。審査は数カ月の遅れが出た見込みだ。
 一部追加資料はまだ提出されず、東北電は来年1月末までに作成する予定。今後提示を予定する審査スケジュールでは、審査を全て終える時期が早くても来春にずれ込むとみられる。
 女川2号機の審査会合は138回に上り、福島の事故を起こした東電の柏崎刈羽6、7号機(151回)に迫る。東北電幹部は「回数を重ねてもなお不足している点がある。きちんと説明できるスケジュールを示す」と気を引き締める。

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