[2018_06_18_03]渋川で震度5弱 群馬震源で観測史上最大(上毛新聞2018年6月18日)
 
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渋川で震度5弱 群馬震源で観測史上最大

 17日午後3時27分ごろ、群馬県南部を震源とする地震があり、渋川市で震度5弱を観測した。震源の深さは約14キロ。地震の規模はマグニチュード(M)4・6と推定される。同市内で屋根瓦が落下したり、窓ガラスにひびが入るなどの被害があったものの、けが人はいなかった。気象庁によると、本県を震源地とする震度5以上の地震は1918年からの観測史上初めてで、「1週間程度は余震に気を付けてほしい」と呼び掛けている。
 県内では前橋、桐生、伊勢崎、沼田、吉岡、東吾妻の各市町で震度4を観測。
 渋川市や前橋市では民家の屋根瓦や屋内の棚が落下するなどの被害があった。地震の影響により、両市の市営住宅の一部で一時的に断水したが、夜までに復旧した。渋川市北橘町真壁地区では水道管から漏水し、18日に復旧作業を行う。地震による停電はなかった。
 県と渋川市、前橋市は17日、災害警戒本部をそれぞれ設置。政府は首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。気象庁によると、近隣の活火山の活動に異常はないという。
 JR東日本によると、地震の影響で上越新幹線の大宮−越後湯沢間、北陸新幹線の高崎−長野間で一時運転を見合わせた。JR上越線と吾妻線、上毛電鉄も運行を一時停止するなどした。県内を走る各高速道は最高速度が一時、50キロに規制された。

◎イベントや競技中断 鉄道遅れや瓦落下も

 渋川市で震度5弱を観測した17日の県南部を震源とする地震。休日の午後を激しい揺れが襲い、市民生活に一時的な混乱が起きた。建物に被害が出たほか、開催中のイベントは相次いで一時中断した。
 「下から突き上げるような衝撃と、ドーンという音がした」。事務所のガラスが割れた渋川市のガソリンスタンド。60代の男性店員はその瞬間を振り返る。渋川高の文化祭に来ていた女子高校生(17)も「いきなり突風が吹いたような感じ。校舎が揺れているのが分かった」と驚いていた。
 前橋市の正田醤油スタジアム群馬では、陸上の関東高校大会が開かれていた。発生直後、電光掲示板に「地震発生のため競技を中断しております しばらくお待ちください」と表示され、関係者が約15分間、選手や電気系統の安全確認に奔走した。太田市民会館では、群馬交響楽団が東毛定期演奏会で1曲目を演奏中だった。群響事務局によると大きく揺れた後、緊急地震速報がホール内や舞台袖に響き渡り、演奏が中断された。いずれの会場も大きな混乱やけが人はなかった。
 公共交通にも影響が出た。JR東日本高崎支社管内の各路線は発生後15分ほど運転を見合わせた。新前橋駅で友人と待ち合わせをしていた前橋市の男子大学生(22)は「群馬は地震が起きないと思っていたので、びっくりした」と話した。
 渋川市北橘町で屋根瓦が落下した住宅は、NPO法人が放課後等デイサービス事業所として使用している。17日は日曜のため運営していなかったが、通常は障害児10人程度がいるという。「子どもを預かる場所なので、しっかりと安全を確認したい」と施設職員。18日午前に県の担当部署と相談し、午後からの運営を判断するといい、同法人が近くで運営する別の施設に振り替えることも検討する。
 屋根から路上に瓦が落ちた前橋市の葬儀場の男性社員(54)は「人に被害がなくて本当に良かった」とほっとした様子。その上で「万が一に備えて、早急に施設を総点検しなければ」と気を引き締めた。

 【県内の主な震度は次の通り】
 ▽震度5弱=渋川▽震度4=前橋、桐生、伊勢崎、沼田、渋川、吉岡、東吾妻▽震度3=高崎、桐生、太田、渋川など▽震度2=高崎、富岡など▽震度1=下仁田など

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