[2017_11_24_02]11月24日に「日本原電」に提出された抗議声明文 東海第2原発の再稼働を止める会(たんぽぽ舎2017年11月24日)
 
参照元
11月24日に「日本原電」に提出された抗議声明文 東海第2原発の再稼働を止める会

【声明】日本原電による、老朽化した東海第二原発をさらに20年延長して運転させるという「申請書提出」に抗議します

           東海第2原発の再稼働を止める会
            共同代表 市川紀行(元美浦村村長)
            共同代表 村上達也(前東海村村長)

 来年11月には運転開始から40年ともなる東海第二原子力発電所について、日本原子力発電株式会社 (村松 衛社長、以下日本原電とします) は、原子炉等規制法が規定する40年限度の運転認可を、例外規定を適用してさらに20年延長したいとする申請を、11月24日、原子力規制委員会に行われました。
 これは、以下に記す理由で、そもそも再稼働されるべきではないものであって、それをさらに老朽化した原発の運転を続けるという危険な賭けを求めるものというべきです。
 さらに、県民・国民の7割もが再稼働に反対している中で、電力消費者に過大な負担を掛けることとなる1800億円ともいわれる莫大なコストを新規制基準適合のためにかけるという、原発専業会社である企業としての存続のみを図ろうとする、許されない行為と言わざるをえません。
 私たちは、この東海第二原発が、6年前の東日本大震災で地震と津波に襲われ、あわやのところまで行くという被災原発となったものであることを忘れません。
 先日の茨城県、東海村への説明でも、「正式には再稼働するかどうか決定していない」という、ごまかしの言い方をされていますが、間違いなく「再稼働する」との宣言でもあります。地元の理解も得られていない中、1年後に法的寿命の40年となる今、20年の延長運転に向けて申請をするのではなく、きっぱりと延長・再稼働を諦められ、廃炉へと方針を変更することが求められていると考えます。
 日本原電という会社の存在意義自体が、すでに廃炉作業に着手している東海原発での経験を基礎に廃炉技術を持つ専門会社として、各地の原発の廃炉事業をも請け負う企業として社会的役割をはたしていくことが、社会貢献ともなるこの会社の役割となっていると信じます。
 そこで、この度の日本原電による申請書提出に対して強く抗議の意を表明し、再稼働の断念を求めて、ここに声明します。

          記

1.福島原発事故を起こしたものと同型の沸騰水型原発(BWR)の中では、1978年に運転開始された東海第二より古い原発は、すべて事故を起こして廃炉となったか、すでに廃炉が決定されており、もっとも古い老朽原発となっています。 このことは、設計が古く、耐震設計の基準も定められていない時代に建設されたものということです。原子炉の中に張り巡らされた電気ケーブルなどは、火災対策としての難燃ケーブルとなっておらず、一部を新しく引き直すこととするものの、半分は物理的にも取り換え不能なまま、ケーブルをシートで被うだけですませるという危険性を残した状態で、再稼働をさせようとしているものだということです。
2.新基準への適合性審査で基準地震動を1009ガルとしましたが、そもそも、当初270ガルで設計された施設が、その後、耐震基準の強化で各所の耐震強化対策をしてきたとはいえ、机上の計算ではないかと言いたくなるものです。
 また、6年前にストレステストで1039ガルが耐震限度と計算されていることからすると、安全の余裕がほとんどないと考えられ、40年前の設計で建設された施設にいくら膏薬を貼るかのごとくに耐震対策したと言われても、事故が起きてからでは遅すぎるのです。
3.津波についても20mの防潮堤(壁)を新設するとされていますが、想定された津波高さの17.1m自体が甘いという指摘もある中、地盤の問題があって60mもの深さに鋼管を打ち込んで地上部分にコンクリートを巻くという工法での防潮堤(壁)自体、規制委員会からの厳しい指摘で液状化対策を強化するとされたものの、津波は地震とともに襲来する中で、本当に確実な対策であるのか疑わしいものです。
 何しろ、全国の原発の中でも最も海抜が低く、津波の襲来可能性の高いものが東海第二なのです。
4.そして、もっとも問題なのは、隣地に存在する原子力研究開発機構の再処理工場には400トンもの高濃度放射性廃液とプルトニウムが置かれていて原発以上に危険性の高い施設であるほか、研究用の原子炉や核燃料製造工場などが集積している東海村に、東海第二原発があるということです。
 にもかかわらず、新基準においてもこのことはまったく審査対象とはされておらず、各種原子力施設の複合災害については目をつぶって、安全対策が計画されているということです。
5.また、東海第二原発は5km圏内のPAZに8万人、30km圏内のUPZには96万人が生活しているという人口密集地域に立地しています。自治体が避難計画を策定し、事故時には30km圏外に広域避難させることとなっていますが、茨城県内には到底収まらないこと、自家用自動車利用での避難を主体にすることによる道路渋滞の問題や、バスの手配、災害時要援護者対策など、ほとんど現実的な避難計画の策定も、実際の避難も不可能だと言わざるをえません。
その上、至近距離にこれだけの人口を抱える原発は、テロリスト、謀略を構想する者や我が国に敵対する国家にとって、格好の標的となるものであり、このような原発を温存することは我が国を破滅に導くものに他なりません。
6.さらに、新規制基準に適合させるために必要な1800億円と言われる費用について、どのようにして調達するのか明らかではありません。そして、過酷事故を起こした場合に、日本原電が被害者に対して十分な賠償を行うことができないことも明らかです。このように、日本原電には「原発を操業するに当たって十分な経理的基礎がないこと」が明らかです。


KEY_WORD:TOUKAI_GEN2_:村松衛:TSUNAMI_: