[2017_11_20_02]<大飯原発>運転差し止め控訴審 高裁金沢支部で結審(毎日新聞2017年11月20日)
 
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<大飯原発>運転差し止め控訴審 高裁金沢支部で結審

 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止め訴訟の控訴審が20日、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)で結審した。1審福井地裁判決(2014年5月)は「大飯原発の技術や設備は脆弱(ぜいじゃく)で、運転により周辺住民の人格権が侵害される危険がある」とし、東京電力福島第1原発事故後では初めて運転差し止めを命じ、関電側が控訴していた。内藤裁判長は住民側の新たな証人申請を却下し、審理を終了。早ければ年度内にも判決が出る見通し。
 福井県の住民らが関電を相手取り、12年11月に提訴。1審判決は、地震があった際の原子炉の冷却機能と、放射性物質を閉じ込める構造に欠陥があると判断。重大事故の可能性を指摘し、原発から250キロ圏内の住民への具体的な危険性を認めた。
 控訴審では、耐震設計で想定する最大の揺れ「基準地震動」が主な争点に。住民側は関電側の地質調査などが不十分で、地震規模を過小評価していると指摘。今年4月に証人に立った島崎邦彦・元原子力規制委員長代理は、地震動の計算方法に問題があり、規制委の審査も不十分として「運転を許可すべきではない」と訴えた。
 一方、関電側は「震源断層の長さなどを安全重視で評価しており、過小ではない」と反論。基準地震動を従来の700ガル(ガルは加速度の単位)から856ガルに引き上げるなどして安全対策を強化し、今年5月に規制委の安全審査に合格しており「運転に問題はない」と主張している。
 20日の最終意見陳述で住民側は「司法は原発の危険から人々を守る最後のとりで。審理を尽くしてほしい」と訴え、火山などの専門家の証人尋問を申請し審理の継続を求めたが、内藤裁判長は申請を却下した。【日向梓】

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