[2017_10_25_06]原子力規制委員長 更田豊志氏に聞く(福島民報2017年10月25日)
 
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原子力規制委員長 更田豊志氏に聞く

 原子力規制委員長に9月22日付で就いた更田(ふけた)豊志氏は24日、福島民報社のインタビューに応じた。東京電力福島第一原発で高濃度汚染水を浄化した後に残る放射性トリチウムを含んだ処理水について、「海洋放出が現実的に最善の選択肢。東電は風評対策を含めて具体的な提案をし、県民の理解を得るしかない」と東電に速やかな放出決断を求めた。

 −委員長としての抱負は。
 「原子力規制委員会は福島第一原発事故の反省と教訓に基づいて5年前に設置された。福島のような事故を二度と起こさないという初心を忘れることなく取り組む」

 −福島第一原発の廃炉作業の進捗(しんちょく)をどのように受け止めているか。
 「福島第一原発の周囲に健康被害を与えるような危険性は低くなっている。一方、東日本大震災規模の地震、津波が発生すれば放射性廃棄物が海洋に流出する可能性は残っている。環境汚染を防ぐための対策を早急に進める必要がある」

 −トリチウムを含んだ処理水解決の糸口をつかめていない。
 「海洋放出が現実的に唯一の選択肢だと思っている。トリチウム濃度が法令基準以下であれば健康への影響はない。トリチウム処理水をため続けるリスクを考えて、海洋放出を最善の手段として提案しているが、県民感情なども考えないといけない。東電は漁業者らと膝を突き合わせて、風評被害対策など具体的な提案をして理解を得るしかない。処分方法を議論している国の結論を待っていては進まない」

 −柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働の審査では東電の原発事業者としての適格性を認めた。
 「設置変更許可の審査で適格性を扱うのは非常に難しい判断だった。東電を特別扱いせず、技術的な議論だけで判断することも一つの方法だったが、東電は事故の当事者だ。少なくとも東電が原発事業者にふさわしい姿勢を見せ、十分な技術を持っているかどうかを見極めたかった」

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