[2017_09_21_02]福島原発事故刑事訴訟への「印象操作」払拭するパワポ公開(週刊金曜日2017年9月21日)
 
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福島原発事故刑事訴訟への「印象操作」払拭するパワポ公開

 9月2日、東京・芝浦の田町交通ビルで「東電元幹部刑事裁判が始まった! 9・2東京集会」が開かれた。
 福島原発刑事訴訟支援団と福島原発告訴団が共同で主催したこの日の集会の最大の目的は、報道やネットを通じて再三流される「津波は防げなかったのだから、罪には問えない」「検察が起訴できなかったのに、有罪にできるわけがない」といった類いの「印象操作」を否定・払拭することだった。
 集会では、同告訴団の弁護団を務める海渡雄一弁護士がパワーポイントを使い、6月30日に開かれた初公判で明らかになった事実を解説。2006年以降、東電社内では10メートルを超える大津波への対策が検討され、09年6月までにその対策を完了させる計画があった事実や、その後、この計画が先送りされて葬られた事実。そして検察や政府事故調査委員会はこうした事実を把握していながら隠蔽し、不起訴処分としていた事実などが紹介され、海渡弁護士は「このパワポのデータは皆と共有する。これを使って誰でも説明できるようになってほしい」と訴えた(パワポのデータはURLで公開中)。
 同告訴団の刑事告訴が東京地検で不起訴処分とされた際、同告訴団側は担当検事から「防潮堤は南側だけに作る計画で、たとえ作っていたとしても事故は防げなかった」「防潮堤の完成予想図もなかった」などと説明されていた。だが初公判では、原発の敷地を取り囲む防潮堤の立体図が登場。検事の説明が虚偽だったことが判明している。ここにきて同原発事故は「捜査結果隠蔽事件」の様相を呈してきた(この隠蔽についての詳細は海渡氏らの共著『強制起訴 あばかれた東電元最高幹部の罪』〈Kindle版・金曜日〉参照のこと)。
(明石昇二郎・ルポライター、9月8日号)

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