[2017_09_06_07]原発と核燃料サイクルは膨大な無駄遣い ほとんどが税金の投入と電力料金への上乗せでまかなわれています 原発と核燃料サイクルから撤退して膨大な無駄遣いをへらそう 木原壯林(若狭の原発を考える会)[上]3回連載(たんぽぽ舎2017年9月6日)
 
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原発と核燃料サイクルは膨大な無駄遣い ほとんどが税金の投入と電力料金への上乗せでまかなわれています 原発と核燃料サイクルから撤退して膨大な無駄遣いをへらそう 木原壯林(若狭の原発を考える会)[上]3回連載

 6月30日、日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、原子力規制委員会に日本初の再処理工場「東海再処理施設」の廃止措置計画を認可申請しました。
 1兆円の国費を投入して、70年かけて作業を終了するといわれています。
 「もんじゅ」をはじめ、枚挙のいとまがないトラブルを起こし、数えきれない事故隠しを行い、6月6日にはプルトニウム事故を起こした原子力機構が、70年という途方もない長期の作業を安全に全(まっと)う出来るか否か、不安この上ありません。
 また、現時点での1兆円の試算が、作業終了までにどこまで膨らむかも疑問です。

★東海再処理施設−廃止に1兆円、70年かかる 安全にやれるのか??

 核燃料サイクルの中核を担う国内初の再処理工場。動力炉・核燃料開発事業団(動燃;現原子力機構)が1971年に建設を始めた。2007年までに商業炉と研究炉の使用済み燃料1140トンを処理。1997年にはアスファルト固化処理施設で火災爆発事故が起きた。
 この例のように、原発や核燃料サイクルには、無駄づかいともいえる膨大な経費を要します。この機会に原子力関係の無駄遣いの一部をまとめてみました。

 [参考] 国家予算と比較すれば原子力関係の無駄遣いが、いかに膨大であるかが分かります。
 本年(2017年)度の日本の一般会計歳入は97兆4547億円で、その中の59.2%の57兆7129億円が租税及び印紙収入(所得税17兆9480億円、法人税12兆3910億円、消費税17兆1380億円、その他10兆2350億円)です。
 なお、1兆円の負担とは、国民(本年6月1日で1億2674万人)1人当たり約8千円の負担に相当します。

(1) 原発事故で発生する膨大な経費

 政府は昨年末、事故を起こした福島第一原発の廃炉費、除染費、被害を受けた人々への賠償費などの事故対策費の総額は想定の11兆円を大幅に上回り、21兆5000億円に膨れ上がったと発表しました。
 従来は2兆円だった廃炉費用と汚染水対策費用の合計が8兆円へと4倍増。賠償費用は5兆4000億円から7兆9000億円へと約1.5倍に。2兆5000億円とされていた除染費用も1.6倍の4兆円に膨れ上がりました。

 この経費は、事故を起こした原子炉の内部も分からず、メルトダウンした核燃料がどこに、どの程度あるかも分からない現時点での試算ですから、その額はさらに膨れ上がるともいわれています。税金と電気料金によって支払われます。決して東電が身銭を切るわけではありません。

 ここで、この見積もりが完全なものでないことを、土壌除染費の推定を例に考えてみます(産業技術総合研究所の2013年推定を参照)。
 除染シナリオとして、農用地は5cmの表土除去、森林は落ち葉除去と腐葉土除去(建物・庭・農地・道路などの生活圏から20m以内)、建物用地は屋根と壁面の拭きとり、庭木の刈り込み、表層土壌除去(2〜3cm)、道路はショットブラスト(細砂を吹き付けることによる表面を薄くはく離する方法)を実施すると仮定して、総除染費用を推定すれば、1.2兆円超となります。
 しかし、この推計には、除染などに関わる放射線管理業務や間接経費、仮置き場から中間貯蔵施設への輸送費、最終処分場費用は含んでいません。中間貯蔵施設の設計条件、さらに可燃物の減容化の有無により、費用が大幅に上昇する可能性があり、最大5兆円にもなるともいわれています。[中]に続く

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