[2017_07_16_07]中越沖地震では半数「通行止め」に_柏崎原発事故時の避難経路(新潟日報2017年7月16日)
 
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中越沖地震では半数「通行止め」に_柏崎原発事故時の避難経路

 東京電力柏崎刈羽原発の重大事故に備えた柏崎市の避難計画で、同原発から半径30キロ圏外に避難するまでの主な避難経路として市が示す157ルートのうち、ほぼ半数に当たる78ルートに2007年の中越沖地震時の通行止め箇所があることが15日、新潟日報社の調べで分かった。原発事故と自然災害が重なる複合災害時には避難で使う道路が使えなくなる恐れがあることを表しており、識者からは複合災害時の避難方法を検討するよう求める声が出ている。
 新潟日報社は国、県、東日本高速道路など道路を管理する関係機関に中越沖地震時の道路の被災状況を取材し、柏崎市が避難計画で示している「主な避難経路」と照合した。
 本社のまとめでは、中越沖地震に伴い各地で発生した道路損壊などで、柏崎市と刈羽村だけで少なくとも国道11カ所と県道21カ所が通行止めとなった。市道、村道の通行止めも発災当日だけで30カ所を超えた。
 市の避難計画が示す「主な避難経路」について、市内31地区の各中心部にあるコミュニティセンターを起点に避難経路をたどったところ、78の避難ルート上に中越沖地震時による国道、県道、高速道路の通行止め箇所があった。
 31地区のうち高浜、西中通、中通、南部の4地区は、複数ある避難経路の全てに中越沖地震時の通行止め箇所があった。4地区は、原発事故時はすぐに避難しなくてはならない半径5キロ圏の即時避難区域(PAZ)に入っている。
 また中越沖地震では長岡ジャンクション(JCT)−柏崎インターチェンジ(IC)−上越ICの区間が最大56時間通行止めとなった。市が示す避難経路のうち46ルートはこの区間を通る。北陸道が大きな被害を受ければ、複合災害時の避難はさらに困難になる可能性がある。
 柏崎市防災・原子力課は複合災害時について、「被害状況に応じて対応を判断する」とし、避難が難しい場合は国などに救援を求める方針だ。
 災害時の避難行動などに詳しい東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(74)は「複合災害での避難時、地震などで道路が壊れると、限られた道路に車が集中し大渋滞となることが予想される」と話し、避難計画で複合災害について検討する必要性を指摘している。

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