[2017_07_05_02]<福島第1>「冠水させず」柱に…溶融燃料取り出し工法(毎日新聞2017年7月5日)
 
参照元
<福島第1>「冠水させず」柱に…溶融燃料取り出し工法

 東京電力福島第1原発1〜3号機で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し技術を検討している原子力損害賠償・廃炉等支援機構が、3基とも原子炉格納容器を水で満たさない「気中工法」を柱に取り出しを進める方針を固めたことが、関係者への取材で分かった。近く公表する「戦略プラン」に盛り込み、政府・東電はこれを基に取り出し方針を決め、今夏にも廃炉工程表の改定も検討する。
 これまで同機構は格納容器を水で満たす「冠水工法」も並行して検討してきた。冠水工法には、水によって燃料デブリなどから出る放射線が遮られ、作業員の被ばくを減らせるメリットがある。しかし同機構は、格納容器の損傷部をすべて補修して格納容器の上部まで水を満たすのは難しいと判断。当面は気中工法を軸に、格納容器内にロボットアームを入れてデブリを取り出す方法を優先させることにした。
 ある機構関係者は「冠水の選択肢は捨てたわけではないが、技術開発のリソース(資源)を重点的に配分する必要がある」と話す。気中工法では、取り出しの際に細かな放射性物質が舞い上がらない対策が必要となる。このため、水を掛け流しながらロボットアームでデブリを切り取って回収する方法を検討している。
 1〜3号機はそれぞれ事故による破損状況が異なる。また、東電による原子炉内部の調査でもデブリは直接観察されておらず、デブリの形状や分布状況はよく分かっていないため、号機ごとに具体的な取り出し方法を今後検討する。1号機では、溶け落ちた核燃料の多くが圧力容器を抜けて格納容器底部に落ちているとみられており、格納容器の横からロボットアームを入れて取り出す方法を中心に検討している。【岡田英、柳楽未来】

KEY_WORD:FUKU1_: