[2017_06_01_04]東京電力柏崎刈羽原発を動かしてはいけない!_再稼働問題=東京問題である_田中三彦《サイエンスライター/元東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)委員》(生活者通信_No_3092017年6月1日)
 
参照元
東京電力柏崎刈羽原発を動かしてはいけない!_再稼働問題=東京問題である_田中三彦《サイエンスライター/元東洋電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)委員》

◎ 5月17日、関西電力の高浜原発4号機が再稼働した。たぶん6月には同3号機も動き出していると思われる。福島第一原発事故から6年と少しが経過したいま動いている日本の原発は、ほかに九州電力川内原発1、2号機、四国電電伊方原発3号機と、数はまだ少ない。が、注意しておかねばならないことがある。日本の商用原発には「沸騰水型原発」と「加圧水型原発」の2つの型があるが、事故を起こした福島原発が沸騰水型であるのに対して、現在稼働中の原発はどれも加圧水型であることだ。
◎ 加圧水型は沸騰水型より安全、という人もいるが、そんな単純な定説はない。まずは福島から遠いところから、福島第一原発とは異なる型の原発から、という暗黙の原発再稼働国家戦略があったにちがいない。そして今後もしばらくは、関西や九州の加圧水型原発の再稼働が繰り返されるはずだ。
◎ 一方、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機に対する原子力規制委員会の「適合性審査」も、最終段階へと進みつつある。
 東京電力は当然その再稼働に社運をかけているわけだが、この問題、じつは東京都民にとってもけっして他人事ではない。事業主が東京電力であることや原発が沸騰水型であることも重要な論点ではあるが、都民がとくに考えるべきは、なぜ東京電力の原発が新潟県にあるのか、だ。
 福島第一原発の場合もそうだったが、じつは柏崎刈羽原発で産み出される電気が新潟県で消費されることはなく、すべてが東京電力管内(関東7都県+山梨県+静岡県の一部)に送られ、とりわけ東京で大量消費される。
 原発があるかぎり、いずれ大事故は起きる。原発は事故を起こすまで安全、ということでしかない。
◎ 原子力規制委員会の田中俊一委員長は、かって、あっけらかんと、「基準の適合性は見ていますけれども安全だっていうことは、私は申し上げません」、そう言い放った。
 いま、柏崎市や刈羽村の人々が、そして多くの県民が、近い将来現実化するかもしれない「柏崎刈羽原発再稼働」に日ごとに不安を募らせている。
 実際、昨年10月、新潟県民は再稼働に慎重な新人候補を新知事に選んだ。
◎ しかし、産み出される電気の大半を享受する東京都民のいったいどれだけが、再稼働問題を自分たち自身が深く関わる問題として捉えているだろうか。
 エネルギーも「地産地消」が基本であり、30数年前、同志広瀬隆は「東京に原発を」と逆説的名言を吐いたが、いまの東京はその基本から一番遠いところにあるようにみえる。
(補足.東京電力の持ち株は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が54.69%、東京
電力従業員持株会が1.33%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)が
1.27%、東京都が1.2%の順で、東京都は上位4位の大株主である)


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