[2017_04_23_01]<玄海原発>「知事は国の言いなり」経産相訪問に県民ら抗議(毎日新聞2017年4月23日)
 
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<玄海原発>「知事は国の言いなり」経産相訪問に県民ら抗議

 九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働を巡り、世耕弘成経済産業相が22日佐賀県を訪れ、山口祥義知事が提示していた同意判断までの手続きが終わった。山口知事は安全対策など国の責任を確認したとするが、県民からは「国は助けてくれない」と批判が上がった。【松尾雅也、関東晋慈】
 世耕氏は午前、九電の瓜生道明社長らの案内で玄海原発を視察した。原子炉格納容器が破損した際の放射性物質の拡散対策などの説明を受けた。
 世耕氏は午後、佐賀県庁に移動。正面玄関前では再稼働に反対する県内外の市民団体らが詰め掛け「山口知事は県民の声を聞け!」などと抗議の声を上げた。世耕氏を乗せた車が正門に入ると「再稼働反対」「大臣帰れ」と連呼した。福岡県久留米市の元高校教諭、堤静雄さん(70)は「福島の事故を経験し、世論調査では原発に否定的な意見が半数を超え、再稼働を容認した県議会の決議とねじれている」と批判した。
 山口知事と世耕氏の面談は公開で約30分間行われた。世耕氏は、山口知事から要請されていた5項目について、核燃料サイクルなど原子力政策を国が責任を持って進める▽原子力災害対策の改善強化▽県民説明会での丁寧な対応▽立地地域の経済振興▽再生可能エネルギーの導入促進−−などを回答した。
 山口知事は改めて6項目を要請。原発の安全性の規制強化▽使用済み核燃料などバックエンド対策▽再生可能エネルギーなど原子力に依存しない経済社会構造の確立▽県民の理解を得る取り組み▽原子力災害対策の継続的見直し▽立地地域の振興対策−−を挙げた。面談後は「国として責任を持って取り組む強い決意の言葉をいただいた」と評価した。
 首長ら再稼働反対の声がある中での地元同意の手続きについて、山口知事は「非常に分かりにくい」と明確化を提言。世耕氏は面談後の会見で「一律に法律で縛るより地域の状況に合わせて対応した方が良い」と法制化を否定した。
 県庁前で抗議した佐賀市の無職、野口佳代子さん(62)は「福島を見れば国は被災者を助けていない。山口知事は国の言うままに同意すれば、県民に向き合っているとは言えない」と憤った。

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