[2017_02_23_01]規制委「お墨付き」も遠い再稼働 大飯3、4号など見通し立た(フクナワ2017年2月23日)
 
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規制委「お墨付き」も遠い再稼働 大飯3、4号など見通し立た

 大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が22日、安全審査に事実上合格したことで、関西電力が原子力規制委員会に申請した全7基に新規制基準に適合している“お墨付き”が与えられた。ただ現状は1基も動いていない。運転差し止め仮処分で停止中の高浜3、4号機(同県高浜町)抗告審の行方や大飯3、4号機の地元同意に加え、高浜原発構内の大型クレーン倒壊事故を受けた安全総点検も残る。関電は経営改善に向け、年内にこの4基の再稼働を目指しているが見通しは立っていない。
 大飯3、4号機は2013年7月、昨年再稼働した高浜3、4号機とともに申請した。審査は期限のあった古いプラントの美浜3号機を優先したため、後回しになった。東日本大震災直後、政治判断で国内唯一再稼働した実績があるが、“合格”まで約3年半かかった。
 審査では構内の破砕帯を巡って議論が白熱。「活断層ではない」との結論を得たが、基準地振動は700ガルから856ガルに引き上げられることになった。
 審査書案を了承した22日の規制委会合で田中俊一委員長は「三つの断層を連続したものと見なすなど、地震動や活断層の調査は詳細に行った」と総括した。
 大飯3、4号機では約1220億円をかけ、安全対策工事が進められている。防波堤を海抜5メートルから8メートルにかさ上げしたほか、海水ポンプ室周辺の津波防護対策や竜巻対策も行っており、今年5月に完了する見込みとなっている。

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 関電は一貫して「安全が確認されたプラントは一日も早く再稼働したい」とのスタンス。40年超運転が認められた美浜3号機と高浜1、2号機は安全対策工事に時間がかかるが、高浜3、4号機、大飯3、4号機の4基は年内再稼働をもくろんでいる。
 仮に4基が動けば、1カ月当たり170億円程度の収支にプラス影響があると試算する。今年4月からのガス自由化を見据え「原発を動かすことで収支を安定させ、電力料金を引き下げたい」との考えだ。
 一方で「安全最優先」を掲げながら、今年1月には高浜原発構内で大型クレーン倒壊事故が発生。2月13日の福井県原子力安全専門委員会では「原発が止まった状況で、安全意識が劣化しているのではないか。常に緊張感を持って、安全意識を全社で共有すべきだ」と批判の声も出された。
 県は関電の全原発で安全管理体制の総点検を求めており、完了するまでは再稼働の議論には応じない姿勢。西川一誠知事は22日、記者団に「クレーン倒壊は直接の原子力事故ではないが、基本のことであり、しっかりやらないと話にならない」とくぎを刺した。再稼働に向けたハードルは低くない。

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