[2017_02_22_04]大飯3、4号機、規制委新基準に「適合」 6原発12基に(東京新聞2017年2月22日)
 
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大飯3、4号機、規制委新基準に「適合」 6原発12基に

 原子力規制委員会は二十二日、定例会合を開き、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)について、安全対策工事をすれば新規制基準に適合するとの審査書案を了承した。関電は夏ごろの再稼働を見込んでいるが、再稼働には知事ら地元の同意が必要となる。
 審査書案の了承は玄海原発3、4号機(佐賀県)などに続き、六原発十二基目。規制委は、審査書案に対する意見を二十三日から公募。集まった意見を踏まえ、正式に判断するが、これまで了承を撤回した例はない。
 規制委は関電が申請した地震や津波、過酷事故対策などの妥当性を検討してきた。関電は、規制委の指摘に応じて耐震設計の目安となる地震の最大の揺れ(基準地震動)を七〇〇ガルから八五六ガルに引き上げるなど修正し、了承を得た。ただ、現状でも専門家からは規制委や関電の地震の想定が過小との指摘が出ている。この日の会合でも委員から地震動評価の根拠をただす質問があり、田中俊一委員長は「十分、保守的な評価をしていると思う」と述べ、評価は妥当との認識を示した。
 関電は二〇一三年七月、新規制基準の施行に合わせて二基の審査を申請。四十年の運転期限が迫る老朽化原発の審査を優先したため、関電が後に申請した高浜1、2号機(福井県)や美浜3号機(同)よりも後回しになっていた。

 関電は安全対策工事として、総額千二百二十億円を投じ、原子炉を冷やすために海水を取り込むポンプを津波から守る防護壁の建設や竜巻対策などを進めている。工事は五月中にすべて完了し、再稼働へ地元の理解を得る考えだ。

(写真省略)

 大飯3、4号機を巡っては、福井地裁が一四年五月、福井県内の住民らの訴えを認めて運転差し止めを命じる判決を下したが、関電が控訴し、名古屋高裁金沢支部で係争中。
 二基は一一年の東京電力福島第一原発事故を受けて国内の全原発が停止していた一二年七月、関電管内の電力不足を理由に政治判断で再稼働。定期検査に入った一三年九月から停止している。

<大飯原発3、4号機> 関西電力が福井県おおい町に建設した加圧水型原発。ともに出力は118万キロワットで、3号機は1991年、4号機は93年に運転を開始した。同県にある商業原発10基の中で最も新しく、規模も最大。2013年7月の新規制基準施行当日に、関電が審査を申請した。1979年に運転を始め40年間の運転期限が迫る1、2号機は、まだ審査を申請していない。

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