[2017_01_10_02]NY近郊の老朽原発2基閉鎖で合意 州知事「人口過密地域に時限爆弾」(東京新聞2017年1月10日)
 
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NY近郊の老朽原発2基閉鎖で合意 州知事「人口過密地域に時限爆弾」

 【ニューヨーク=北島忠輔】米ニューヨーク州のクオモ知事(民主党)は九日、ニューヨーク市近郊にあるインディアンポイント原発の二基の原子炉を二〇二一年四月までに閉鎖することで運営会社のエンタジー社と合意したと発表した。稼働から四十年が過ぎており、安全性を懸念するクオモ氏が閉鎖を求めていた。
 同原発は市中心部から北に約六十キロのハドソン川沿いに立地。二〇一一年の東京電力福島第一原発事故の後に原子力規制委員会(NRC)が実施した検査で、「地震による影響を受ける危険性が最も大きな原発」と指摘されていた。
 合意によると、2号機(一九七四年稼働)は二〇年四月、3号機(七六年稼働)は二一年四月までに閉鎖する。エンタジー社は千五百万ドル(約十七億四千万円)を拠出し、地域振興や環境保護などに充てる。原発の従業員は今後、風力発電や水力発電などの技術訓練を受けられる。エンタジー社は、シェールガスの増産でエネルギー価格が低下したことや、原発の規制強化によるコスト増など経済的理由から閉鎖を決めたとしている。
 クオモ氏は九日の演説で「私たちの土地は祖先から受け継いだものではない。子孫から借りているものだ」と強調。「安全性に疑問があるこの原発は、ニューヨークが抱える時限爆弾。こんな人口過密地域に近い原発はほかにない」と述べ、再生可能エネルギーの開発に力を注ぐ考えを示した。
 八十キロ圏内に二千万人以上が住んでいるとされ、クオモ氏は「事故時の緊急避難は不可能だ」と主張してきた。1号機(六二年稼働)はすでに運転を停止。残る二基も近年は老朽化が進み、汚染水漏れなどのトラブルが続発していた。

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