[2016_12_21_04]廃炉、遠い道のり=燃料搬出準備整わず−ナトリウム処理課題・もんじゅ(時事通信2016年12月21日)
 
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廃炉、遠い道のり=燃料搬出準備整わず−ナトリウム処理課題・もんじゅ

 高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉が正式に決まったことで、日本原子力研究開発機構は廃止措置(廃炉)計画を策定し、原子力規制委員会の審査を受ける。承認されれば作業を進めるが、直近まで運転再開を目指していたこともあり、核燃料を全て搬出する設備や、放射性廃棄物となる1次冷却系ナトリウムの保管先などは整備されていない。廃炉に向けた道のりも、遠く険しいものになりそうだ。
 もんじゅの原子炉容器内には現在、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料198体と、劣化ウラン燃料(ブランケット燃料)172体の計370体がナトリウムの中で保管されている。燃料は互いに支え合う形になっており、1体ずつ抜いていくことはできない。燃料を抜いた所には模擬燃料を入れ、置き換える必要がある。
 過去に一部の燃料を交換した実績はあるが、現時点で全部取り出すのに必要な370体の模擬燃料は用意されておらず、200体しかない。点検も必要で、すぐに搬出作業に取り掛かるのは難しい。
 冷却材のナトリウムの扱いも課題だ。もんじゅには1次系など放射能を帯びたナトリウムと、放射能を帯びていない2次系などのナトリウムが760トンずつある。いずれの系統も全量を抜き取って保管する設備や場所がない。
 政府が進める次期高速炉開発計画では知見の獲得に向け、もんじゅのナトリウム系を活用する案も検討された。規制委の担当者は「燃料取り出し後、施設の再利用が認められないわけではない」とする一方、「ナトリウム自体が放射性廃棄物になるので、廃棄物管理をきちんとすることが前提だ」とくぎを刺す。
 もんじゅでは原子炉以外にも、炉外燃料貯蔵槽にMOX燃料121体、ブランケット燃料39体の計160体がある。ナトリウムを洗い落とし、容器に密閉して水中保管されている使用済み燃料も2体ある。使用済みMOX燃料を再処理できる施設は国内になく、これらの保管や処分も問題になる。(2016/12/21-14:49)


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