[2015_05_18_01]志賀原発活断層 日本は地震国だから(中日新聞2015年5月18日)
 
 北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の真下に活断層が存在する可能性が高まった。直下で大地震が起きる恐れがあるということだ。今地下は活動期という。「判定」に厳しすぎるということはない。
 原子力規制委員会の調査団が13日、志賀原発敷地内の断層に活断層の疑いがあると指摘した。
 1号機原子炉建屋の真下に一本、1、2号機のタービン建屋の真下には二本、延べ約1300メートルの活断層が走っているらしいということだ。それがいつずれて、設備を壊すか、わからない。住民の不安は察するに余りある。
 敷地内には活断層の疑いあり、とされたもの以外にも、複数の断層が見つかっている。断層の存在自体は北陸電力も認めている。
 3・11後の新規制基準では、活断層の上には、原発の重要設備を置けないことになっている。
 タービン建屋の下の二本は、原子炉の周辺に冷却水を送り込む配管の真下にある。原子炉はもちろん、冷却水が事故防止の決め手であることは、福島の事故で身に染みた。1号機はもちろん、2号機も動かすべきではない。
 志賀原発2号機は2006年の金沢地裁判決が、営業運転中の差し止め訴訟で、原告側の訴えを初めて認めた原発だ。
判決理由の中には「邑知潟断層帯の地震を考慮していない」という指摘があった。
 住民側の請求は高裁で棄却となった。しかし、活断層に対する不安は、以前からくすぶっていたのである。
 福島原発は、津波以前に地震の揺れで致命的な損傷を受けていたのではないかと、国会事故調査委員会なども疑問を呈している。
 かつて、関西では大地震は起きないといわれていた。
 しかし、阪神大震災をきっかけに、全国的に隠れた活断層の調査が進み、未知の活断層″が次々発見されている。名古屋や大阪の中心部でも見つかった。
 大小の断層同士が連動し、大地震を起こす恐れも否めない。福井地裁は先月の関西電力高浜原発差し止め決定で、関電と規制委の地震の揺れに対する見積もりの甘さを指弾した。
 規制委も電力会社も忘れないでもらいたい。
 この国は世界有数の地震・火山国であり、全国どこでも、住民は地震を恐れ、地震に備えて生きている。
 地震や地震の卵である断層を、ゆめ甘く見るべきではない。
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