[2015_04_30_01]二つの司法判断 高浜と川内、何が違うのか(よせあつめ新聞2015年4月30日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 ところが実際には、想定外の地震に襲われたとしても「安全余裕が十分あるから逃げられる」との考え方で、原発の過酷事故を防ぐことが可能であるかのような新規制基準の考え方について、明確にノーとしてきしたのは福井地裁、それでもかまわないとしたのは鹿児島地裁と、大きく分かれる結果になった。
 どちらが安全に対して真剣か言うまでもない。
 安全余裕というのは、単に地震により生じる力だけではなく、設計ミスや施工不良、あるいは想定外の腐食の進展や材料劣化、運転時などに起こりえる様々な力の過度な集中、そういうもの全てが同時に生じてもなお、安全上重大な事態に至らぬようにするために必要である。設計者の意図する条件を途中で大幅に超えていても安全余裕の中で納められるなどといったものではない。
 中越沖地震により被災した柏崎刈羽原発が、一見すると過酷事故に至っていないことを良いことに、想定された地震よりも大きな地震に襲われても原発は壊れないなどという「耐震神話」が生じた。表だって新規制基準などで示されているわけではないが、今でも原発関係者に根強く残っている。
 しかし安全余裕は設計基準には存在しない。もちろん、いかなる場合でも、それで持つことを期待してはならない。
 安全余裕を食いつぶすことを、その構造物の実力であると勘違いしている。今の規制基準は、根底から誤っていることを、明確に指摘したのが福井地裁決定である。

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