[2015_02_22_01]地震 津波 迅速キャッチ 太平洋側5700キロ 防災研の海底観測網 地震30秒 津波20分早く 八戸局にケーブル陸揚げ 15年度内 データ運用開始(東奥日報2015年2月22日)
 東日本大震災以降、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が、日本海溝周辺を震源とする地震に備えた地震津波観測網の光ファイバーケーブル敷設を、北海道から千葉県沖の総延長5700キロで進めている。同研究所は21日、データ取得のため計6カ所整備する地上局のうち、八戸市の恵比須浜漁港近くに設ける地上局に接続するケーブルの陸揚げ作業を公開した。作業を見守った関係者からは、地震津波観測や予報の精度向上、迅速化に期待する声が聞かれた。   (三國谷啓)

 観測網整備計画は計6区画に敷設した海底ケーブルに東西30キロ、南北60キロ間隔の150観測点で地震計と、津波を観測する海底水圧計を設置するもの。
 同研究所によると、これだけの規模のリアルタイム観測は世界初で、八戸局は6月中のデータ取得開始、全体としては2015年度中の本格運用を目指している。
 観測データは同研究所と気象庁に伝送され、従来より、地震は最大30秒、津波は最大20分、早く感知できることから、緊急地震速報や津波予報の精度向上、迅速化が期待される。
 21日は恵比須浜漁港沖に停泊した敷設船「KDDIパシフィックリンク」(約7960トン)から伸びたロープを重機で陸側に引き込み、午前9時半ごろ、ケーブル本体の先端を陸揚げ。
 小林眞市長や工事関係者が、ケーブルの先端にシャンパンや日本酒を掛けて陸揚げを祝った。
 岩手県宮古市の地上局から北上する三陸沖北部区画のケーブル敷設は八戸沖30キロまで完了しており、船を沖に出して最後に残った区間の敷設を進め、25日までに同区画の整備を終える。26日には、八戸局から北海道沖へ伸びるケーブル先端の陸揚げも予定している。
 陸揚げを見守った同研究所の金沢敏彦・海底地震津波観測網整備推進室長は「より精度が高く、迅速な情報提供につながるもので、今後も安全に作業を進めたい」、小林市長は「避難指示を出すに当たって、強力な後押しになる」と話した。
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