[2015_02_19_02]17日の津波注意報 「本県にも必要だった」 気象庁、震源100キロ修正 八戸市・階上町防災担当 「情報の精度高めて」(東奥日報2015年2月19日)
 気象庁は18日、岩手県沿岸で津波を観測した17日午前の地震について、震源地を当初の発表よりも約100キロ陸側となる同県宮古市の東北東約100キロに修正した。気象庁は、修正した震源地に基づけば、津波注意報の予想到達時刻を約10分早め、本県や北海道の一部にも出すベきケースだったとした。
 17日に観測された津波は予想時刻よりも前に到達した地点があり、釜石では5分早い午前8時35分、久慈港は2分早い同48分だった。注意報を出すベきだった地域でも北海道のえりも町庶野、本県のむつ小川原港、八戸で10センチの津波が観測された。
 気象庁によると、修正後の震源地の近くでは、津波を発生させた地震より約10秒前に規模の小さな別の地震が発生していた。この地震の初期微動(P波)を検知したが、次に来る主要動(S波)と津波を起こした地震のP波を混同して区別できなかった。
 その結果、最初の地震のP波と津波を起こした地震のS波を基に震源を推定。時間的な間隔が大きく見えるため、推定した震源地が実際よりも遠い宮古市の東約210キロとしたと説明した。
 P波の揺れの周期がS波に比べて短いといった特徴などを基に、それぞれの地震を詳しく解析。その結果、10日になって震源地が異なることが判明したという。
 気象庁は「震源が100キロも修正された例はないのではないか」とした上で「地震発生から数分の間に津波注意報を速報する必要がある中で、素早く二つの地震を区別できるか難しい面もあるが、今後もあり得るケースとして改善策を検討する必要がある」とした。

■八戸市・階上町防災担当 「情報の精度高めて」

 17日午前の地震の震源が約100キロ修正されたことについて、八戸市の高橋信幸防災安全部長は18日、「地方自治体としては気象庁が頼り。正確な情報を迅速に提供してはしい。技術的な難しさはあるのかもしれないが、情報の精度をもっと高めるよう努めてもらいたい」と語った。
 同市は津波注意報が発令されれば避難指示を出すことにしているが、17日は注意報が発令されなかったため避難指示も出さなかった。
 一方、岩手県洋野町と境界を接する階上町は、17日午前の地震で沿岸部に広報車を出し、海岸から離れるよう呼び掛けた。佐京孝信総務課長は「隣町に注意報が出ているのに、うちは大丈夫だろうとはいかない」とし、「東日本大震災では予想しない被害を受けた。以前なら町民も行政側も、1メートルや何十センチの予報を軽く見ていたところがあるが、今は意識が変わった」と話した。  (本紙取材班)
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