[2014_09_11_02]川内原発再稼働 不安解消へ九電は説明を(西日本新聞社2014年9月11日)
 

川内原発再稼働 不安解消へ九電は説明を

 九州電力川内原発鹿児島県薩摩川内市が、全国の他の原発に先駆けて再稼働へ動きだした。
 原子力規制委員会が、新規制基準を満たしているとする「審査書」を決定した。今後は説明会など手続きの中心が地元に移る。住民の不安解消に向け、国や自治体とともに、九電はもっと前面に出て説明を尽くしてほしい。
 原発再稼働に向けた一連の動きの中で電力会社の姿は見えにくい。再稼働を判断して責任を負う主体が曖昧なことも要因だろう。
 とはいえ川内原発を動かすのは九電だ。再稼働を目指すなら事業者として主体的に関与すべきだ。
 九電は、川内原発と玄海原発佐賀県玄海町の安全対策を強化している。総費用は3千億円以上とされ、内容もホームページなどで公開している。規制委の委員とのやりとりもオープンだ。
 だがそれだけで十分だろうか。九電の組織全体で原発の安全確保の意識がどう変わったのか。審査を通じて川内原発の安全性がどれだけ高まったのか。住民に説明して納得を得る努力が欠かせまい。
 鹿児島県は、薩摩川内市など5カ所で審査結果の説明会を予定している。説明は規制委の担当者が中心となるが、九電も同席して可能な限り対応すべきである。
 再稼働に向けては、重大事故に備える避難計画作りの不備が、住民の不安や懸念を招いている。
 政府は、避難計画作り支援のため職員5人を地元に派遣した。地方自治体任せだった計画作りに国が関わるのは望ましい。ただし、同意取り付けの単なる「地ならし」ならば、理解は得られまい。
 計画作りで九電も、住民避難用のバスを確保する方針だが、さらにきめ細かな協力を求めたい。
 最大の課題は、地元同意取り付けの範囲だ。鹿児島県も九電も、同県と薩摩川内市の「立地自治体」にとどめる方向とされる。
 だが、重大事故では周辺自治体も区別なく被害に遭う。それが福島原発事故の教訓だ。少なくとも半径30キロ圏の自治体には同意を取り付ける努力が必要ではないか。

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