[2013_08_21_01]下北の地下構造調査 規制庁、年度内に着手(東奥日報2013年8月21日)
 
 原子力規制庁は20日、原子力施設が集中立地する下北半島で地下深部の構造を調査すると発表した。調査は陸奥湾から陸地の東北電力東通原発付近を通り、太平洋沖にある大陸棚外線断層まで、下北半島の「まきかりの柄」部分を東西一直線に輪切りにするイメ一ジ。近くコンサルタン卜会社などの調査主体を公募する。調査着手は年度内で、数カ月程度かかる見通し。
 具体的な調査地点は未定だが、太平洋から陸奥湾まで東西に延びる全長約50キロの測線を設定。陸上では震動を起こす起震車、海上では音波ソナーを使用して深さ10キロまでの構造を探る。調査費は、規制庁が本年度初めて計上した断層の活動性調査研究費5億3千万円から必要額を執行する。
 太平洋沖約10キロを南北に走る大陸棚外縁断層をめぐっては、一部有識者が巨大地震を引き起こす可能性を指摘。東通原発や六ヶ所再処理工場の敷地内断層との関連も取り沙汰されている。
 森本英香次長は20日の定例会見で「下北半島というフィールドを使うが、この調査はあくまでも(規制機関として)断層の評価手法の精度を高めるのが狙い。審査のための調査ではない」と、一般的な断層評価の精度向上が目的だと強調した。
 一方で「この調査で得られた新しい知見は実際に事業者が申請するときに当然利用されると思う」と述べ、調査結果によっては原子力施設の耐震評価の見直しにつながる可能性も示唆した。調査範囲に含まれる可能性がある東北電力東通原発や再処理工場は再稼働、営業運転開始を目指す施設で、実質的な事前調査の意味合いも強い。
    (阿部泰起)
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