[2011_12_15_02]保安院解析 1号機配管 地震で亀裂の可能性(東京新聞2011年12月15日)
 経済産業省原子力安全・保安院が、東京電力福島第ー原発1号機の原子炉系配管に事故時、地震の揺れによって0.3平方センチの亀裂が入った可能性のあることを示す解析結果をまとめていたことが分かった。東電は地震による重要機器の損傷を否定し、事故原因を「想定外の津波」と主張しているが、保安院の解析は「津波原因説」に疑問を投げかけるものだ。政府の事故調査・検証委員会が年内に発表する中間報告にも影響を与えそうだ。
 これまでの東電や保安院の説明によれば、3月11日午後2時46分の地震発生後、1号機では、非常時に原子炉を冷やす「非常用復水器(IC)」が同52分に自動起動。運転員の判断で手動停止するまでの11分間で、原子炉内の圧力と水位が急降下した。この後、津波などで午後3時37分に全交流電源が喪失し、緊急炉心冷却装置(ECCS)が使えなくなったため、炉心溶融が起きたとされる。
 一方、経産省所管の独立行政法人・原子力安全基盤機構が今月上旬にまとめた「1号機IC作動時の原子炉挙動解析」は、IC作動時の原子炉内の圧力と水位の実測値は、ICや冷却水が通る再循環系の配管に0.3平方センチの亀裂が入った場合のシミュレーション結果と「有意な差はない」と結論付けた。圧力と水位の急降下は、0.3平方センチの配管亀裂でも説明できるという。0.3平方センチの亀裂からは、一時間当たり7トンもの水が漏えいする。
 東電は二日に発表した社内事故調査委員会の中間報告で、「津波原因説」を展開、地震による重要機器の損傷を重ねて否定している。
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