[2011_11_01_02]泊耐震安全性 活断層連動 再評価を 保安院指摘 再稼働一層遅れ(北海道新聞2011年11月1日)
 経済産業省原子力安全・保安院は31日、電力会社が各原発で実施する「耐震安全性評価」について、専門家意見聴取会で、福島第1原発事故を踏まえた新たな検討課題を示した。北海道電力泊原発(後志管内泊村)に関しては、原発から40キロ程度沖合の日本海海底にある複数の活断層が運動し地震が起きる場合の揺れや津波の規模について、再評価を要求。これにより、原発施設の安全評価に時間がかかり、早くて年明けとみられていた泊1、2号機の再稼働も一段と遅れそうだ。     (関連記事2面)

 保安院は聴取会で、北電泊、関西電力美浜など全国9原発について、地震や津波の評価方法の課題を掲示。近く各電力会社に再評価を指示する。
 泊原発の新たな課題は海底の震源が連動し、大きな揺れや津波を引き起こした東日本大震災の教訓を踏まえたもの。保安院は、積丹半島北側の「FA−2断層」と神威岬沖の「神威海脚西側の断層」の連動と、同半島北西側の「FS−10断層」と「岩内堆北方の断層」の連動による影響を念頭に置いている。
 また、一部識者が北電の想定より距離が長いとする「黒松内低地断層帯」の扱いも今後、聴取会で議論される可能性があるという。
 北電は2009年3月、「尻別川断層」や同半島西沖の「FBー2断層」の影響を想定し、@最大の揺れは550ガル(加速度の単位)A最高の津波の高さは9・55メートル−とする耐震安全性評価の最終程告をまとめ、保安院が内容を評価中だった。
 耐震安全性評価の再評価を、北電が年内に終えるのは難しい見通し。原発再稼働に向けた施設の安全評価は、地震の揺れや津波の大きさが前提となっているため、保安院はこの間の安全評価の作業も行わない方向だ。
 北電は泊1、2号機の安全評価の1次評価提出へ詰めの調整をしているが、仮に堤出しても保安院の評価は事実上進まず、揺れや津波の前提が変われば、評価自体のやり直しを迫られる。このため、泊原発の再稼働は一段と不透明になった。

 耐震安全性評価

 原発周辺の活断層などをくわしく調べた上で、今後起こりうる最大の地震の揺れや津波の高さを評価する。建屋や機器がこれに耐えられるよう、安全対策を行うための指標となる。現在、北電泊原発、東北電力東通原発などで電力会社が行った評価結果が妥当かどうか、原子力安全・保安院が評価している。
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