[2011_05_10_01]浜岡原発停止を決定 中部電 政府の要請受諾 東電へ融通打ち切り 震度6強以上 30年以内の発生確率 浜岡84%圧倒的高さ 東通0.9〜2.1(東奥日報2011年5月10日)
 
 中部電力は9日午後の臨時取締役会で、政府による浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止要請の受諾を決めた。運転中の浜岡原発4、5号機は数日内にl基ずつ停止する。電力不足を回避し安定供給を続けるため、政府と一体になって、休止中の火力発電所の再開や他の電力会社からの支援で電力確保に全力を挙げる。

 東電へ融通打ち切り

 ただ、中部地方で電力需給が逼迫(ひっぱく)するのは必至。東日本大震災に続けてきた東京電力への電力融通は打ち切る。東電管内に続き、トヨタ自動車など製造業が集積する中部でも電力供給が制約されることで、大震災からの復興を目指す日本経済への影響も懸念される。
 菅直人首相は中部電力の判断を「大変良かった」と歓迎。水野明久中部電社長は記者会見で「安全強化を着実に実施していくことが、長期的には原子力発電を安全かつ安定的に継続する礎になる」と述べた。
 稼働要件を満たして運転している原発を、法的な裏付けなく停止させるには極めて異例。政府は停止期間を、防潮堤など中長期的な津波対策が完了するまでの約2年間と説明している。水野社長は、海江田万里経済産業相と電話会談し、対策が終われば、原発の運転を再開をできるとの確約を得たと明らかにした。
 中部電は、電力需要が高まる夏場の需給が厳しくなるため、9日付で対策本部を設置。計画停電は実施せず、顧客に節電を求める。現時点では電気料金の値上げもしない考えだ。
 全面停止ににより、燃料費などの追加負担で、2012年3月期連結決算は営業赤字に転落する恐れがある。4月末に公表した12年3月期の業績見通しは撤回し、売上高や利益を未定に修正した。
 中部電は、顧客や立地地域、株主などに過度な負担を掛けないよう、政府に支援を要請した。海江田経産相は、金融面など最大限の支援を表明した。

 震度6強以上 30年以内の発生確率 浜岡84% 圧倒的高さ 東通0.9〜2.1

 政府が中部電力に浜岡原発(静岡県)の運転停止を要請する根拠としたのは、国の地震調査委員会が作成した「全国地震動予測地図」だ。30年以内に震度6強以上の揺れに襲われる確率は、浜岡原発が83.6〜84.0%と圧倒的に高かった。
 ただ、東日本大震災で震度6強に見舞われた東京電力福島第1(福島県)は、ほぼ0.0〜0.8%と極めて低い確率と見込まれていた。地図作成に当たった島崎邦彦・地震予知連絡会会長は「予測は一般防災用で、より厳しい想定が必要な原発防災に用いるべきではない。そもそも東海地震は『明日来てもおかしくない』と想定しており、確率にあまり意味はない」と指摘している。
 2010年版の予測地図によると、東北電力東通原発は0.9〜2.1%。同女川(宮城県)は1.0〜8.3%、東電福島第2は0.6%、日本原子力発電東海第2(茨城県)は2.4〜2.5%とされていた。
 関西電力大飯(福井県)や中国電力島根(島根県)、九州電力玄海(佐賀県)はすべて、可能性が0%に近いという「0.0%」。四国電力伊方(愛媛県)は、原子炉建屋付近は0.0%だが、敷地南部では15.1%。地盤の違いなどを反映して、敷地内で数値が大きく異なる例が見られた。
 商業原発ではないが、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県)は0.0〜0.5%だった。
 浜岡原発の確率は09年版予測地図でもほぼ同じ数値だったが、原発の防災想定は変更されなかった。
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