[2011_04_08_04]緊急情報_地震発生による原子力発電所の状況について(第32報)【1時現在】(東北電力2011年4月8日)
 
参照元
東北電力
緊急情報
_地震発生による原子力発電所の状況について(第32報)【1時現在】

平成23年 4月 8日(2011/4/8)

※下線の箇所が、新たにお知らせする内容です。

4月7日23時32分頃の地震発生の状況について,お知らせいたします。

<女川原子力発電所>
女川原子力発電所(宮城県牡鹿郡女川町および石巻市)は、全ての号機において、平成23年3月11日14時46分頃の地震発生に伴い原子炉自動停止しておりますが、現在も、原子炉の温度は100℃未満の冷温状態にあり、原子炉は安全に停止しております。

観測した加速度は、476.3ガルです。
牡鹿幹線1回線、松島幹線1回線、塚浜支線1回線が停止しましたが、松島幹線1号線の1回線により、電源供給をしております。なお、牡鹿幹線1回線は、設備点検のため停止中でした。
排気筒モニタ、モニタリングポストに変化はなく、本事象による発電所周辺への放射能の影響はありません。
現在、現場をパトロール中です。

【1号機の状況】
・残留熱除去系は運転中であり、原子炉の冷却に影響はありません。
・燃料プール冷却浄化系が自動停止しましたが、すみやかに再起動しました。使用済燃料プールの冷却に影響はありません。
・地震の揺れにより、使用済燃料プールから床面に水が溢れたことを確認しました。

【2号機の状況】
・残留熱除去系は運転中であり、原子炉の冷却に影響はありません。
・燃料プール冷却浄化系が自動停止しましたが、すみやかに再起動しました。使用済燃料プールの冷却に影響はありません。

【3号機の状況】
・残留熱除去系は運転中であり、原子炉の冷却に影響はありません。
・燃料プール冷却浄化系が自動停止しましたが、すみやかに再起動しました。使用済燃料プールの冷却に影響はありません。

<東通原子力発電所>
【1号機の状況】
・現在、定期検査のため停止しています。観測した加速度は、8ガルです。
・むつ幹線2回線の停止に伴い、外部からの電源供給が停止しましたが、非常用ディーゼル発電機が自動起動し電源供給をしております。なお、東北白糠線1回線については、設備点検のため停止中でした。
・本事象に伴い、4月7日23時37分、保安規定第58条に定める運転上の制限(外部電源1系列が動作可能であること)を満足していないと判断いたしました。なお、本事象は、「東通原子力発電所におけるトラブル等対応要領」に基づくB情報に該当する事象であり、法令や安全協定に基づく報告事象ではありません。
・燃料プール冷却浄化系が自動停止しましたが、すみやかに再起動しました。現在、定期検査中のため、原子炉内の燃料は全数を使用済燃料プールに取出中ですが、使用済燃料プールの冷却に影響はありません。
・排気筒モニタ、モニタリングポストに変化はなく、本事象による発電所周辺への放射能の影響はありません。

<女川原子力発電所>
 女川原子力発電所(宮城県牡鹿郡女川町および石巻市)は、1号機および3号機が通常運転中、2号機が原子炉起動中のところ、地震の発生に伴い、平成23年3月11日14時46分、女川原子力発電所全号機において、原子炉が自動停止しました。観測した加速度は、567.5ガルです。
これは、地震発生の際の安全確保策として設計どおり停止したものであり、現在、全ての号機において、原子炉の温度は100℃未満の冷温状態にあり、原子炉を安全に停止しております。
各号機の原子炉格納容器内のパトロールを終了しております。排気筒等について、引き続き、パトロールを実施しております。
なお、敷地境界の放射線量を測定しているモニタリングポストの指示値が、3月12日23時頃より上昇し始め、一時的に最大21マイクロシーベルト/時となったことから、3月13日12時50分に、原子力災害対策特別措置法第10条に該当するものと判断し、関係機関に通報いたしました。なお、モニタリングポストの一時的な指示値の上昇は、女川原子力発電所の全ての号機が冷温停止となっていること、排気筒放射線モニタの値は通常より高いものの十分低いこと等から、女川原子力発電所からの放射性物質等の放出によるものではありません。(平成23年3月13日お知らせ済み)
4月7日16時現在のモニタリングポストの指示値は、0.37マイクロシーベルト/時となっております。
なお、モニタリングポストの指示値につきましては、当社のホームページ(http://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/onagawa/mp.html)において、リアルタイムで表示しております。

【女川1号機】
(対応中)
・屋外重油タンクは、倒壊しており、重油が漏れていたことを確認しました。当該タンクの倒壊は、電気事業法に基づく主要電気工作物の破損事故に該当することから、3月29日、電気事業法に基づき報告しました。
・4月1日、非常用ディーゼル発電機(A)の定期試験を実施したところ、ディーゼル発電機は起動したものの、所内電源系へ接続するための同期検定器※1の電源が入らず、所内電源系への接続ができませんでした。本事象に伴い、同日10時40分、保安規定第62条に定める運転上の制限※2を満足していないと判断いたしました。
 本事象発生時、原子炉の冷却は原子炉冷却系統のA系で行っていたため、非常用ディーゼル発電機(A)から電気を供給できることが必要でしたが、これができなかったことから、運転上の制限を満足していないと判断したものです。
このため、非常用ディーゼル発電機(B)を起動し、所内電源系へ接続できることを確認した上で、原子炉冷却系統をA系からB系に切り替え、所内電源が喪失した場合には非常用ディーゼル発電機(B)から電気を供給できることを確認しました。
その後、原子炉の冷却が、原子炉冷却系統のB系により行われていることを確認できたことから、4月1日21時18分に運転上の制限内に復帰したと判断しました。
非常用ディーゼル発電機(A)については、今後、点検いたします。
なお、発電所の電源は外部電源から供給しており、安全上の問題はありません。

【女川2号機】
(対応中)
・燃料交換機制御室の窓ガラスに割れを確認しました。
・原子炉建屋地下3階非管理区域にある補機冷却系の熱交換器室に、海水が浸水していることを確認しました。この影響により、非常用ディーゼル発電機(B)および高圧炉心スプレイ系用ディーゼル発電機が起動後、自動停止しましたが、外部電源からの電源供給および非常用ディーゼル発電機(A)の起動により、必要な電源が確保されていることから、プラント運転上問題ありませんでした。3月16日10時30分、海水の排水を完了しました。
補機冷却系熱交換器室の原子炉補機冷却水ポンプ※3(B)モータと高圧炉心スプレイ補機冷却水ポンプ※4モータ等が浸水していることを確認したことから、浸水したポンプモータを工場に搬出し、点検した結果、使用できないことを確認しました。このため3月29日、原子炉等規制法に基づき報告しました。
なお、原子炉補機冷却水ポンプは、2系統のうち1系統が健全であるため冷却機能は確保されております。高圧炉心スプレイ補機冷却水ポンプは、原子炉が冷温状態で安全に停止していたことから、使用しておりません。
また、同室内で浸水した原子炉補機冷却水ポンプ(D)モータおよび海水ポンプ室内にあり浸水した可能性がある原子炉補機冷却海水ポンプ※5(B)、(D)モータも、今後、点検いたします。
・補助ボイラー(A)蒸気だめ基礎部に損傷を確認しました。
・燃料プール内に異物を確認しました。(注1)
(注1)3月11日以降の余震による影響と考えております。

【女川3号機】
(対応中)
・燃料プール内に金属の異物を確認しました。
・地震の揺れにより、タービン建屋のブローアウトパネル※6が外れていることを確認しました。

【共用設備】
(対応中)
・固体廃棄物貯蔵所において、放射性雑固体廃棄物(不燃物)が封入されたドラム缶2本の落下および2本の転倒を確認しました。(注1)
(注1)3月11日以降の余震による影響と考えております。

<東通原子力発電所>
現在、定期検査のため停止しています。観測した加速度は、17ガルです。
なお、地震発生に伴い発生した事象については、対応が全て終了しております。

以  上

用語解説
※1 定期試験時など手動でディーゼル発電機を所内電源系に接続する際に、接続のショックを和らげるため、電気の性質(電圧,周波数)が同じくらいかを確認する機器。なお、外部電源喪失時は、所内電源系に電気がないため、同期検定器を使用せずに、非常用ディーゼル発電機を自動で接続する。
※2 運転上の制限は、安全機能を確保するため、予備も含めて動作可能な機器(ポンプ等)の必要台数や、原子炉の状態毎に遵守すべき温度や圧力の制限を定めているものであり、保安規定第62条は、非常用ディーゼル発電機の起動や所内電源系へ接続できることなどを定めたもの。
※3 非常用ディーゼル発電機や残留熱除去系等の冷却を行うための水を循環させるポンプ。
※4 高圧炉心スプレイ系用ディーゼル発電機や原子炉の水位が異常に低下した際に原子炉へ給水する高圧炉心スプレイポンプモータ等の冷却を行うための水を循環させるポンプ。
※5 原子炉補機冷却系の冷却を行うための海水を汲み上げるポンプ。
※6 建屋内の圧力が上昇した時に押し出され、建屋内の圧力を減圧するためのパネル。

KEY_WORD:MIYAGI20110407_:FUKU1_:基準地震動: