[2011_04_08_03]「東海、東南海、南海」地震 日向灘連動ならM9も 文科省プロジェクト想定 広範囲で津波(日経新聞2011年4月8日)
 東海、東南海、南海の3つのプレート型地震が連動して起きると、宮崎県沖の日向灘でも地震が同時発生して巨大地震となる恐れがあることが7日、文部科学省の研究プロジェクトの成果でわかった。想定4地震の断層は長さ700`に達し、マグニチュード(M)9クラスの巨大地震になる可能性もある。政府が策定中の3地震連動の対策も再検討を迫られそうだ。
 今回の東日本大震災ではM9・0の地震を引き起こした震源断層は長さ約500`に及ぶとされる。想定される4地震が連動した場合、震度5強以上の揺れと3bを超える大津波が西日本の太平洋側の大半の広範囲を襲うという。
 海洋研究開発機構や東京大、京都大、名古屋大などが参加する「東海・東南海・南海地震の連動性評価」が成果をまとめた。2008年から豊後水道から日向灘にかけての地下構造や、四国や九州の沿岸に残された津波の痕跡を調査。東海、東南海、南海地震が連動したと考えられている1707年の宝永地震(M8・6)は、日向灘を含めて連動した可能性が高いと結論づけた。
 研究メンバーの古村孝志・東大教授らは1つの地震が連動したと仮定してコンピューター上でシミュレーションしたところ、当時の津波や地盤沈下の様子をうまく再現できた。4地震の連動で、四国西部沿岸や九州太平洋側の揺れは想定の1・5倍、津波の高さは1・5〜2倍の5〜10メートルに達する恐れがある。
 研究成果について政府の中央防災会議に伝えており、2012年にもまとめる3地震連動を想定した対策大綱づくりに反映される見通し。金田義行・海洋機構プロジェクトリーダーは「300〜400年周期で4地震が連動している可能性が高い。防災対策は最悪のケースを想定すべきだ」と話している。
 ▼東海、東南海、南海地震の連動 今後、日本周辺で起きる可能性のある地震の中で、最も広範囲に被害をもたらすとされる。駿河湾から高知沖に延びる南海トラフ(海溝)で周期的に発生している。今後30年以内に発生する確率は東海地震が87%、東南海地震が70%、南海地震が60%と予想されている。政府の中央防災会議は3地震が連動した場合、死者2万8000人、建物の全壊が56万棟を超えると想定している。
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