[2005_01_09_01]インド 津波で原発緊急停止 東海岸 住民「放射能漏れ不安」(毎日新聞2005年1月9日)
 【カルパカム(インド南部)田中洋之】スマトラ沖大地震でベンガル湾に面したインド南部カルパカムにある原子力発電所が大津波に襲われ、原子炉が緊急停止するなどの影響を受けた。政府当局は「放射能漏れや深刻な被害はなかった」としているが、周辺住民に不安を与えている。
 カルパカムは出力17万キロワットの加圧水型重水炉2基(84年と86年に運転開始)や実験炉1基、再処理工場を持つ核複合施設。09年完成を目指し高速増殖炉建設も進んでいる。
 今回の大津波で原発の冷却装置につながるポンプ室に大量の海水が流入し、稼働中だった原子炉1基が緊急停止した。もう1基は部品交換のため点検で停止中だった。作業員1人が死亡、2人が行方不明になったという情報もある。
 原発労働者と家族ら2万5000人が暮らす隣接の居住地区も津波の直撃を受け、計38人が死亡した。海沿いのアパー卜1階にいた原発職員のラビクマルさん(40)は「灰色の波が押し寄せ、首の高さまで海水につかった」と恐怖を語る。
 また近くの漁村に住むサディーシュ・クマルさん(20)は「津波直後に原発から放射能が漏れたとのうわさが流れ、パニック状態になった」と話す。
 当局は放射能漏れを否定、施設の安全性が確認されたとして津波から.1週間後に原子炉の運転を再開した。これに対し、チェンナイ在住のジャーナリスト、シュリ・ラーマン氏は「一歩間違えれば原子炉が破壊され第二のチェルノブイリになる危険性があった」と指摘する。
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