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福岡管区気象台「中央構造線への影響を監視」

 【大分合同・愛媛伊方特別支局】大分県の対岸にある伊方原発(愛媛県伊方町)から6〜8キロの海域には、熊本・大分地震の震源域へと続く「中央構造線断層帯」が走っている。四国電力は7月下旬にも3号機を再稼働させたい考えで、現時点では施設の耐震性の見直しも含め、今回の地震の影響はないとしている。ただ、識者や周辺住民からは「中央構造線による揺れを過小評価している」「大地震で重大事故が起きる可能性がある」と再稼働中止を求める声が根強い。

 「再稼働は危険極まりない」―中央構造線系の断層活動が原因とみられる熊本・大分地震の余震が続く中、松山市の市民団体「伊方原発をとめる会」は4月20日、愛媛県庁で記者会見し、「伊方原発の沖合で大地震を起こす可能性を排除できない」と訴えた。
 伊方3号機は昨年7月、東京電力福島第1原発事故後に施行された新規制基準に適合していると、原子力規制委員会から認められた。規制委の審査では、中央構造線による地震の評価が最大の焦点になった。
 四国電は基準地震動(原発の耐震設計の目安となる地震の揺れの強さ)を最大570ガルとして審査を申請したが、規制委側は了承せず、最大650ガルに設定し直した。これとは別に愛媛県は独自の安全対策として「おおむね千ガル」に耐えられるよう求め、四国電は対応したという。
 だが、果たして650ガルや千ガルで十分なのか。
 高知大学防災推進センターの岡村真特任教授(地震地質学)は「もともと四国電は伊方原発の敷地前面の断層について、過去1万年は動いた形跡がないとして3号機を建設した。650ガルは中部電力浜岡原発(静岡県)などに比べても低く、中央構造線の揺れを過小評価している。千ガル、2千ガル以上も当然あり得るものとして想定しなければならない」と指摘。同大理学部の松岡裕美准教授(地質学)も「活断層はめったに動かないが、何が起こるか分からないのに安全と言い張るのはおかしい」と話す。
 一方、四国電によると、伊方原発では14日夜の前震は揺れを感知せず、16日未明の本震も10ガルの観測にとどまった。「新規制基準の適合性審査では、敷地前面の断層54キロだけでなく、別府―万年山断層帯から紀伊半島まで約480キロの断層が連動して動くケースも想定している」とし、現時点では基準地震動の見直しをする必要はないとのスタンスだ。
 伊方原発を巡っては、松山地裁と広島地裁で運転差し止め訴訟が起きており、ここでも中央構造線による地震の評価が争点の一つ。
 大分県でも愛媛県知事が伊方3号機の再稼働に同意した昨年10月以降、杵築、国東、豊後高田、由布、竹田の5市議会が再稼働反対の意見書を可決している。
 中山田昭徳杵築市議は「大分県民にとって伊方原発は目の前にある。『想定外』は許されない。中央構造線や別府―万年山断層帯の危険性をあらためて検証すべきだ」と求めた。

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