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原子力規制委員会記者会見録

原子力規制委員会記者会見録

●日時:平成28年7月20日(水)

●場所:原子力規制委員会庁舎記者会見室

●対応:田中委員長他

<質疑応答>
○司会 ただいまから原子力規制委員会の定例会見を始めたいと思います。
 皆様からの質問をお受けしたいと思います。いつものとおり、所属とお名前をおっしゃってから質問の方をお願いします。
 それでは、質問のある方は手を挙げてください。ミヤジマさん。
○記者 月刊誌の『FACTA』のミヤジマです。
 島崎先生との議事録を読み返して、平行線なのはしようがないと思うのですが、島崎先生の方から、26ページにあります、強震動の専門家の話をいろいろ聞くことは大事だと思いますということに対して、田中委員長は、我々はそういうことをやる余裕はないし、やるべき立場ではないとおっしゃっている。これは私は非常に、田中委員長の本意ではないと思うのですが、やはり強震動の話というのは耳を傾けていただかないといけないと私は思うのですが、どういう真意なのか、それを伺いたいですね。
○田中委員長 漠然とし過ぎなのですね、話がね。強震動の計算がおかしいとおっしゃっているのだったら、自分がきちっとやるべきなのですよ、科学者として。私は確認させていただいたけれども、そういうことを自分で全くやっていないで、それを規制庁にやるべきだというのは、科学者としては、その道の専門家としては無責任だし、そういう状況の中で、あれだけはっきりしたことをおっしゃることについては、私は一科学者として、やはりおかしいと思うのです。強震動の専門家は世の中に何人いるのでしょうかね。そこだって私はわかりません。地震モーメントから強震動計算までのいろいろなことをきちっと評価されているのは、少なくとも入倉・三宅のお2人は、そのグループはちゃんとやっているのは、たくさん論文出ているからわかっているけれども、少なくとも島崎さんはやっていないですね。地震モーメントのところしかやっていないのです。だから、そういうことを考えると、そこが自分たちの世界の範囲だと私は認識するので、そこをきちっと学問的に詰めてくださいということを申し上げざるを得ないのです。
○記者 田中委員長は、島崎代理時代は島崎さんを非常にリスペクトされていたと、私はそういう認識でずっと見てきておりますが、かなり残念な状況になっているようにも思うのですが、やはり信頼関係が失われたということなのですね、そこは。そんな感じなのですね。
○田中委員長 私もリスペクトしていましたよね。だけれども、今回のことに関しては、昨日も申し上げましたけれども、そういうことだけで物事は済まないような行動をとられた、発言をされたので、そこは違いますねということを申し上げました。私なりに、付け焼き刃ですけれども、相当勉強もさせていただいて、できるだけ実のある議論をしようと思ったけれども、昨日はなかなかそういうふうにはならなかったというのはとても残念です。
○司会 ほかにございますでしょうか。オカダさん。
○記者 毎日新聞のオカダです。
 今日の定例会で島崎さんの問題について、再計算の、計算の手法の詳細をもう一度、規制庁に説明してくださいということを求められましたけれども、これは、その説明をもう一度聞くということなのか、それとも、どうして説明しなかったのかというところの経緯を検証するというところがあるのか、意味をまず教えてください。
○田中委員長 説明不足であったということは、櫻田部長、事務局も認めているわけですから、そのことを検証するのではなくて、具体的に申し上げると、すべり面の面積の矛盾とか、いわゆる応力解放の大きさの矛盾とか、どこにどういう矛盾があるかという言葉だけですね。一般的に、ほかの状況、今までのいろいろなことを踏まえると、なぜそこがそうなっているのかということがいまひとつ理解できないのですね。言葉だけではね。そこのところをきちっと整理していただくということです。
 もう一点申し上げると、ほかにも確立された方法があるなら、それも一応、調べていただくということです。何でもかんでもということではなくて、伴委員の発言に対して、更田委員が少し釘を刺すような、整理するようなことで、そこは昨日の発言でも、国の防災本部の評価とか何かありますよとおっしゃっていたので、そういうことは少なくともよく調べてもらう。どの程度のものなのか、どういうことなのかということは調べていただくことにしたいと。その結果を見て、我々としての判断をもう一度させていただきたいということです。先週の委員会で判断したのは、どうも拙速であったと。要するに、きちっとした情報に基づいていなかったという意味では、我々としても反省をしています。
○記者 拙速だったというところなのですけれども、規制委員会として、先週、再計算の詳細の手法をチェックせずに通してしまったというところは、規制委員会の能力としては、手続が不十分だったという理解ですか。
○田中委員長 5人だけの委員ですから、それで全ての分野を全部、そういう細かいところまでカバーするというのは、はっきり申し上げて、ああいう細かい話になると、十分に理解するというわけにはいかないというところはありますので、そういうことを申されるのであれば、能力不足だったということです。
 ただし、そういった中での、きちっとした情報が、判断できるような情報が上がってこなかったというところもありますし、逆に言うと、その後、私が勉強しながら聞いてみると、そもそもがそういう評価ができるような状況にはないのだ、それを無理無理、できるだけ大きくなるように、なるようにというふうにやっていったと、いろいろな矛盾を抱えながらやっていったということがわかったので、そんな必要はないと。やはり自然現象として、今までの知見と矛盾しないようなやり方でなければ、それは判断の材料にならないでしょうということなのです。ということを申し上げて、今日の委員会の判断にさせていただきました。
○記者 昨日、島崎さんとお会いになったときには、委員長のお考えとしては、再計算はしないとはっきりお考えを述べられていたかと思うのですけれども、今日の委員会では、説明を規制庁から聞いた上で判断は保留という形になったかと思うのですが、そこの考えの変遷というのはどういう経緯でなったのでしょう。
○田中委員長 再計算ができない、再計算しても余り意味のある結果は出ないということですので、再計算をしなさいということを申し上げたわけではないのです。どうして意味がないことしかできないのかという、その根拠をもっと明確にエビデンスを出していただきたいということなのです。だから、そういう意味で、ちょっと無理筋を指示したかなというのは私の反省です。これは私がそこの分野の専門家ではないから、もっと簡単にできるのかなと誤解したところはあったと思います。
○記者 そうすると、今日、規制委員会として再計算はしない方針ということは一致しているという理解なのですか。
○田中委員長 はい。再計算てどういう意味か知りませんけれども、少なくとも武村式による地震モーメントから強震動計算をするということについての再計算はいたしません。
○記者 大飯の基準地震動を見直すかどうかについてはどうですか。
○田中委員長 それは、昨日も申し上げましたけれども、大飯の基準地震動を見直さなければいけないという明確な理由は今のところ見つからないし、今のレシピを含めて、それを変えなければいけないという、変えられるような状況には、今、ないということです。
○記者 最後に1つ。今回の再計算については、櫻田部長もざっくりした計算と言っていましたけれども、少なくとも入倉・三宅で計算したものよりかは地震モーメントが小さく出て、これまでの関電の出している856に対して、武村で関電と条件を全て計算すると大きくなりそうだとか、基準地震動を上回る可能性があるかどうかという、そういう相場観を見る上では使えるかもしれないという発言もあったのですけれども、そうすると、再計算はしないとしても、基準地震動をもう一度議論する必要がないのかどうかはちょっとわからないなと思ったのですけれども、そこはいかがなのでしょうか。少なくとも今回の再計算の結果が、全く基準地震動を見直す上での材料にならないのでしょうか。
○田中委員長 要するに、今、私の理解では、今回の計算結果を根拠に何かを判断できるようなものではないということです。基本的に前提がある意味では成り立っていないようなことを前提とした評価結果ですから、そのことの意味をどう解釈していいか、はっきり言うとわからないのですよ、私には。そのことを含めて、そういう判断についても、もう少し明確にしていただきたいということを申し上げているのです。結果が出ると、それがひとり歩きするので、ああいう結果を出してしまったこと自体が、やはりまずかったと。まずいことを、やるべきではないことをやらせてしまったという感じはするということは申し上げました。
○記者 再計算結果を撤回するということですか。
○田中委員長 再計算結果って何を言っているのですか。
○記者 13日に示した結果です。
○田中委員長 撤回と言えば撤回でしょうね。要するに、それのベースが崩れているわけですから。
○司会 ほかにございますでしょうか。
○記者 毎日新聞のタカギです。
 今の補足をいくつかお願いしたいのですが、1つは、再計算は撤回だと言われたのですが、今日の午前中の委員会では、櫻田部長は、こちらから撤回することは多分ないと、たしかこうおっしゃったと思うのですね。部長の御意向よりも委員長の御意向の方がもちろん強いかと思いますけれども、規制委員会として、撤回という公式見解でよろしいのでしょうか。
○田中委員長 撤回という言い方の意味ですけれども、要するに、石渡委員からその辺の御質問が出たときに、どういう意味かがさっぱりわからないね、計算結果の意味するところをどう解釈していいかわからないねというところがあったわけです。計算ですから、前提があって、そういう計算をすればこうなりますということの結果は結果なのだけれども、意味があるかどうかという意味では、どんな意味を持たせるべきかということについては、委員会としては、今、クエッショナブルですね。今日、指示した評価というか、今後の補足資料を見て判断したいと思います。
○記者 では、まだ撤回ではなくて、今、保留中という理解でいいですか。
○田中委員長 あなたたちは、撤回とか、すぐ簡単な言葉で言うけれども、そういうものではないということです。
○記者 ここは大事なことなので、撤回でないならないとおっしゃっていただければよろしいのですが、撤回という言葉が不適切であれば、我々はそのような言葉はあえて使わないわけです。不適切だと思われれば、そうおっしゃってください。
○田中委員長 どうですかね。ほぼ撤回みたいなものではないのですか。
○記者 櫻田さんは撤回しないとおっしゃったのですよ。
○田中委員長 何か補足はありますか。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林でございます。
 我々、事務方がしゃしゃり出ることではないのですけれども、委員長のおっしゃられるのは、多分、前提条件とか、プロセスがわからないので、今の段階で判断するのは保留したいということだと思いますけれども、委員長、いかがでしょうか。
○記者 今の小林さんのおっしゃるのは、これはこれで理解できるのですが、委員長のお考えも同じですか。
○田中委員長 同じですね、意味するところは。
○記者 了解いたしました。
もう一つ確認いたします。昨日の段階でも、それから、さっきもおっしゃっていたのですが、入倉・三宅式を使わない道というのは今のところないのだと、やめるべき手段を我々は持たないという言い方をされたと思いますけれども、これは、今日の委員会を経て、お考えは変わっておりますでしょうか。
○田中委員長 変わっておりません。
○記者 ただ、委員会の方で、ほかにも確立された方法かあるのかどうか、ちゃんと調べてくださいという話がありましたね。そうすると、その調査と断定的な判断はちょっとそぐわない気がするのです。
○田中委員長 調べてくださいということと、今まで使っていることをやめるとか、変えるということとはまた違いますね。全然ステージが違いますよ。
○記者 繰り返しになりますけれども、今のところ、委員長としては、やめる道はないのだというお考えは変わらないということですね。
○田中委員長 そうですね。
○記者 とりあえず結構です。
○司会 ほかにございますでしょうか。ドウトレイさん。
○記者 TBSのドウトレイです。今日の規制委員会での結論が、先週の判断を一旦保留するということだったと思うのですけれども、先週の判断というのが、もう既に大飯について了承されている基準地震動の範囲内に再計算が含まれるので、見直す必要はないという結論だったと思うのですけれども、その結論のうちのどの部分を保留するのか。つまり、どの部分を見直す可能性があるのか、ないのかがよくわからなかったので、そこをもう一度説明していただけますか。
○田中委員長 今、あなたがおっしゃったように、先週、委員会で了解した結論は、保留して、来週、もう一回それをきちっと、来週になるか、再来週になるか、よくわかりませんけれども、そこのところを納得できるようなもので判断したいということです。
○記者 済みません、追加で。質問した趣旨は、昨日、島崎さんとのお話の中では、評価手法について見直す必要はないというお考えも示されているわけではないですか。一方
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で大飯の基準地震動を見直すかどうかについての判断は改めてすると、そこに矛盾といいますか、そこの関係性がよくわからなかったのです。
○田中委員長 島崎さんはいろいろおっしゃいますけれども、客観的に確立された手法、レシピを全部出して、かくかくしかじかだからというので、ああいう地震、強震動分野で確立されたものを出して、見直すべきだというのだったら、それなりに我々は考えなければいけないと思うのだけれども、そうではないわけですよ。御自身がやってみたのですかと言ったら、いや、やっていませんということでしょう。熊本が非常に大きな判断の別れ道みたいなことをおっしゃるから、では熊本についてやられたのですかと言うと、今、いろいろな人がやっている途中です。ここでそんなふうに我々の行政判断に使うベースをころころ変えるというわけにはいかないのですよ。そこは十分理解していただきたいと思います。
結局、絶対的に入倉・三宅式がいいと我々は判断しているわけではないのです。いろいろ欠点があったので、不確実性というところで、最終的には過小にならないような要素を加味しながらやっているわけですね。ですから、そういう経験値みたいな、そういうものの中で、今の計算手法が固まってきているわけです。島崎さんだって、ここにいる2年間はそれを認めてきたわけですよ。それを変えると言うのだけれども、変えるという根拠が納得できるようなものではないということを申し上げているのです。
○記者 済みません、もう一点だけ。それは理解したのですけれども、その上で確認ですけれども、そうしますと、評価手法について見直さないという昨日の発言ももちろんそのまま維持されますし、一方で大飯の基準地震動について見直すこともされないというのを維持されるという理解でいいのでしょうか。
○田中委員長 おそらく見直す必要ないと思うのです。
○記者 どちらが。
○田中委員長 それは、だから、もう一度確認した上でやりますけれども、大飯のときも随分長い議論になって、事業者とF0-A、F0-B、熊川断層は離れているから違うのですという言い方なのです。昨日も聞いていて私も腑に落ちなかったのは、武村式が40キロなどとなったら、それは間違った結果になるみたいなことを島崎さんはおっしゃっていた。ところが、今、大飯のところは60キロぐらいですよ。ですから、それをどう扱うかというのは全然わからないのですよ、あのストーリーの中では。そういうことを含めて、きちっと、多分、そこをどう扱うべきかというところがレシピになってくるのだと思うのですが、そこのところがはっきりしていないのです。だから対応のしようがないと言った方がいいかもしれませんね。今の段階では。
 私は見直さないとは言っていないのですよ。ただ、それを見直すだけの根拠が、ちゃんとスタンダードとして確立されなければ見直すわけにいきませんよと言っているのです。それは一原子力プラントだけの問題ではないでしょうと言ったら、そうだと言っていましたね。この建物も、どういう耐震計算しているのかわかりませんけれども、レインボーブリッジだって、みんなそうですよ、我が国の建造物は。だから、そういうことにも影響することを踏まえて、社会的責任も感じながら、これを標準にすべきだという提案をしかるべき形でやっていただかない限りは、我々はそう簡単には見直すわけにはいかないということです。一研究者の言葉だけで見直すわけにはいかない。ただ、島崎さんは、御自身が審査をした責任だから、一応、今回、こういう扱いをしましたけれども、普通はやりませんね。
○司会 ほかにございますでしょうか。コビナタさん。
○記者 読売新聞のコビナタです。
 一連の島崎さんが提案される再計算の話で、いろいろ御対応に追われていることは理解はしているのですけれども、一方で、ほかの定例会合にかけるべき案件、例えば、京大のKURとか、美浜3号機とか、そういった許認可ものが延び延びになっているのではないかということで懸念をしているのですけれども、特に美浜3号機は11月30日というおしりが決まっているので、そちらに対する影響も少なからずあるのではないかと思うのですが、そういったことについての影響について、どう思われますか。
○田中委員長 私が事務局から聞いている限りでは、ほぼ大詰めに来ているので、近々委員会でその審査結果について諮ることになると思います。だから、そこのあたりは、どのタイミングにするかということですが、今回の問題は飛び込みみたいだけれども、やはりできるだけ早く答えを明確にした方がいいだろうということで、それを少し優先的にやっているので、ほかのものが少しおくれているということがあるのかもしれないけれども、事務局の準備もありますね。何でもかんでも全部一緒にできないので、おっしゃるとおりです。いろいろなことに全部はね返ってくる可能性がありますので、私なりに、一応、そういう順番でさばいているということです。
○記者 島崎さんの件も非常に重要な案件だとは思うのですけれども、それでほかにしわ寄せが来るというのも、余り望まれたことではないのかなということで、島崎さんの件は、私の考えだと、少なからずまだ引きずってくるような話なので、前提的なほかの案件に影響が出てくるのが非常に懸念している部分があるので、そこら辺は少し考慮しながらするべきなのではないか。まあ、考えているということだと思うのですが。
○田中委員長 おっしゃるとおりで、それによってほかに大きな影響が出るようなことは避けるようにしていきたいと思っています。
○司会 ほかにございますでしょうか。では、ナカムラさんから。
○記者 時事通信のナカムラです。先週の事務方が出してきた試算結果が比較に耐えられないようなものだという報告を委員長が受けたのはいつですか。
○田中委員長 報告を受けたというよりも、私自身が、委員会の翌日、その晩かな、島崎さんが皆さんにいろいろなことを言うというので、一体何だろうかというので、いろいろ聞いていて、そのあたりからだんだん、今回、昨日、今日と議論したようなことがだんだんわかってきたということです。私自身は、そのことを確認するために、この3連休は一生懸命、関連の論文を読み漁っていたということですね。
○記者 わかってきたというのは、事務方から報告があったのですか。それとも、委員長の方から事務方に問い合わせしたのですか。
○田中委員長 それは両方からでしょうね。両方から、これはどういうことなのということを言って、だんだん、そういうことは、無理にいろいろな前提条件を変えながら、とにかく大きくなるように、大きくなるようにやっていったという話を聞いて、それはちょっと変なのではないのというのが私の感じで、その辺を整理していただいたということです。
○記者 そうすると、13日の定例会合での判断自体、前提が揺らぐと先ほどお話ありましたけれども、それを聞いたとき、委員長は、とんでもない間違いをしたという認識はありましたか。
○田中委員長 それはなかったですね。
○記者 それはなぜでしょう。
○田中委員長 私は素人だから。
○記者 素人かもしれませんけれども、事務方の報告自体が説明不足だったわけですよね。それをもとに判断をしていたわけですよね。
○田中委員長 だから、そこのところはそう申し上げて、事務方の方も謝っているし、私もできないことを指示したなということで、反省しているということを申し上げているので、今、そんな議論をしてもしようがないでしょう。
○記者 でも、この経緯をはっきりさせておかないと、また同じ間違いを繰り返すのではないですか。
○田中委員長 間違いを繰り返さないということは未来永劫ないとは言いませんけれども、こういう事例はやはり非常に苦い経験として、こういう間違いのないようにやっていきたいと思いますけれども。
○記者 具体的にどなたが指示をされて、どういう経緯で計算が行われて、委員長をはじめ委員の方にどういう説明が行われたのか、詳しく御説明いただきたいのですけれども。
○田中委員長 前回、島崎さんとここでお話ししたときに、その後に、その翌日だったかな、委員会で、こういう話があるので、事務方にそういう評価ができるか、やってもらおうということを決めたわけです。そういう委員会での指示があったので、うちの規制庁のそちらの方の専門家が一生懸命それに沿った答えが出ないかといろいろ苦労をしてやったというのが、そういうのが経緯ですね。
 だけれども、そのやる過程においていろいろなどうも矛盾があったのだけれども、それもとにかくやってみようということで、ある意味では善意なのだけれども、間違ったことをやったということです。
○記者 専門家の方というのはどなたになられるのですかね、規制庁の中で。
○田中委員長 どなたがいるか、あなたに誰と誰とかと言う必要はあるのですか。
○松浦総務課長 事実関係の話なので。
○田中委員長 何を言いたいのですか、あなたは。
○記者 いや、どなたがかかわってどういう判断をされたのかを伺いたいのです。
○田中委員長 そんなことは申し上げません。
○記者 なぜでしょう。
○松浦総務課長 済みません、事務方に聞いてください、後で。
○司会 ほかにいらっしゃいますでしょうか。オオヤマさん。
○記者 読売新聞のオオヤマと申します。先ほどの撤回する、しないの話の関係なので すけれども、先週の委員会では、要するに再計算した値がこれまでの大飯原発の基準地震動の範囲内におさまっているということで、よしとしたかと思うのですけれども、今、確認なのですが、そういうこともいわば白紙になっている状態ということでよろしいのでしょうか。
○田中委員長 そうですね。
○記者 分かりました。ただ、委員長は。
○田中委員長 白紙になっているというのは、判断を白紙にしているということですよ。
○記者 要するにそれで基準地震動を見直しとか、そういうものにつながるものではないという考えでよろしいのですよね。
○田中委員長 すぐにそこにつながるものではないということです。
○記者 それと、済みません、今日の委員会で事務方に求めていた、武村式を使ってほかに確立した計算方法があるかどうかというお話なのですけれども、これは将来的には、確立された方法があれば、それを使ってまた地震動を計算することになるのかという流れになるかと思うのですけれども、そういった予定ではないのでしょうか。
○田中委員長 武村式を使ってのそういう確立されたレシピがないのは、これは確認されているのですよね。ただ、昨日、中央防災会議でとか、そういうことで強震動の計算をやっていますよということを御説明されましたよね。島崎さんがそういう説明をされたので、そういうことについてはきちんと整理してくださいと。どういう範囲でどういうふうなことをやっているかを整理していただこうということです。
 その結果で、そういうことも含めて、今後、我々の評価の中で見直さなければいけないかどうかというところは、もし絶対的にそういう確立されたようなものがあって、しかるべき評価がされているのであれば、それは一つのバックフィットの考え方の中で見
直すということもあるかもしれない。それは否定はしていませんということを昨日も申し上げていますが。

○司会 お時間も参りましたし、あと、同じような質問が続いていますので、この後、重ねた質問はお受けできませんので、今、手を挙げている4名の方に限らせていただきます。同じ質問はしないようお願いします。シズメさん。
○記者 共同通信のシズメです。
 違う観点から同じ問題についてなのですが、島崎さんの記者会見についてです。規制委員会のここには記者クラブというものはありませんが、幹事役というのが分担であって、島崎さんから記者会見をしたいという申し入れがあったのが木曜日の夕刻、夜ですかね、あって、規制庁に対して庁舎管理権があるのですかね。場所を使っていいかどうかという相談があったと思うのですけれども、結局、翌日の午前中までそれについての判断がなくて、島崎さんが個人で用意した外の会場で記者会見を開いたというのが事実関係でありますが、その際に幹事側から聞いているのは、いきなりの連絡で島崎さんが会見を開くのは難しいとか、開催時間に問題があるとか、金曜日に開くのは無理だというような説明を金城室長から受けたというふうに聞いております。
 これに関してなのですが、これは委員長、こういった事実関係については御存じですか。
○田中委員長 知っていますよ。私が指示したのだもの。ここでそういう勝手にいろいろな方が来て記者会見をするというのは困ると。
○記者 なるほど。では、お尋ねします。なぜ島崎さんの記者会見は不適切であるというふうに判断されたのですか。
○田中委員長 島崎さんに限ったことではないのですよ。やはり私どもが納得して、それで、ここで記者会見をするという場合には、我々がある種の責任を持ってそういう必要性を認めない限りはないわけで、今までないでしょう。勝手に外の人がここで記者会見したということを、そんな事例はないと思いますよ、私が知る限りでは。
○記者 分かりました。今のは、一般的なことだけれども、島崎さんのケースもそれに当たるということだと受けとめますが、その上でなのですけれども、毎回、委員長がその判断をなさっていますか。通常は事務方の判断ですよね。
○司会 補足させていただきますと、一般の方々にここを使っていただかないというのは、これはルールですので。
○記者 ここではなくて、それは記者室のフリースペースのことですか。
○司会 あそこもうちの管理です。ですから、皆さんにカードを配って入退域を管理しているわけです。こちらは我々の管理でやっていますので。
○記者 それはよく分かっています。私が伺っているのは、島崎さんのケースで不可という判断をされたのはなぜかという、この個別のケースで伺いたい。
○司会 ですから、一般ルールに従った。
○記者 委員長に聞いています。済みません、ちょっと委員長に聞かせてください。
○田中委員長 一般ルールですよ、それは。だから、昨日も申し上げたけれども、技術的な説明を受けて、それについての疑問があるのだったら、まず私どもに話をするのがルールだと、科学者としての。それを飛び越えてあなたたちに記者会見をするというのは、これは科学者としてはちょっと違いますねと。科学的議論をする場ではないですねと。そういうことについては私は看過できないと、ここでやることは。ただし、個人がやる分にはとめることはできないから、どうぞ、そこはそれでいいよと金城室長に指示しました。
○記者 なるほど、分かりました。つまり、昨日のような形で委員会に対して説明をする前に、一方的に記者会見を開くのは不適切であるというふうにお考えになったということですね。確認です。
○田中委員長 普通、一応、求めに応じてやった結果について説明を受けて、私は納得できないからといって、皆さんに、プレスに話をするという科学者というのは、余り私はそういうタイプの人を知らないのですよね。
 だから、さっきミヤジマさんに言ったように、私はそういう点では、今まで彼を尊敬してつき合ってきたけれども、ちょっと違うなというのは、昨日、今回の一連の行動で非常に強く感じています。
○記者 確認しますが、つまり記者会見の内容によって、そのスペースの使用の可否を判断すると、こういうことですね。
○田中委員長 そんなことは言っていないでしょう、内容によってなんて。
○記者 では、何ですか。
○田中委員長 手順というのがあるでしょうということですよ。
○記者 手順。
○田中委員長 手順ですよ、もちろん。どういう意見を言うかということについては何も言っていないですよ、私は。
○記者 委員長、つまり委員会に対する説明と記者会見というのは別個にあってもいいのではないかと思うのですけれども、それは違うのですか。今回は結果的に記者会見は記者会見でやって、遅れて面談を開いたという形ですけれども、こういうのはいけないのですか。
○田中委員長 今回の経緯をたどる限りにおいては、それはおかしいですよ。それは私は納得しません。
○記者 書面だけの説明は受け入れがたいということをおっしゃっているのでしょうか。
○田中委員長 何の書面だけの説明ですか。
○記者 メールで金城室長宛てに島崎さんから行きましたよね。
○田中委員長 あれだって私が金城さんから受け取ったのは夜ですよ。皆さんはそれと並行して受け取っていたみたいなのだけれども、そういうのは常識としておかしいでしょう。
○司会 もう質問がちょっと重複していますので。
○記者 済みません、最後の質問です。これは、一民間人が報道機関に対する記者会見を開くということを結果的に政府機関が妨害したということにもつながると思うのですが、いかがですか。
○田中委員長 そんなことは言っていません。ここで開くのは困ると言っているので、自分でやる分にはいいですよ。別にとめる権限もないしということを申し上げているでしょう。何が妨害しているのですか。
○記者 非常に危険なことだと思いますから、御注意いただきたいと思います。
○田中委員長 それは撤回してください。あなたの方が撤回してください。
○記者 質問を終わります。
○司会 今の撤回ということの答えをちょっと言ってください。
○記者 ありません。
○司会 扱いについては、ちょっと。それでは、タケオカさんかな。
○記者 共同通信のタケオカです。
 別件で、済みません、1〜2点お願いします。
 先日、伊方3号機で1次冷却材ポンプでトラブルがありました。川内、高浜でも復水器の細管が破れたりとか、あと、冷却材が漏れたり、並列時に緊急停止したりとか、相次いでいます。それぞれ、委員長は長期停止後の稼働は慎重にも慎重を重ねてとおっしゃっていますけれども、この辺の事態をどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
○田中委員長 今回のやつはシールの水漏れで、多分ずっととまっていて、今回動かして、多分温度も少し上げたのかもしれないのですが、そういう中での水漏れが見つかったということで、高浜4号機のようなものとは少し違うような気がします、状況がね。注意していてもなかなかそういうのは見つからないので、実際に動かす中でそういうことが見つかったということで、実際の原子炉の運転に入る前にそういうところが見つかってよかったと思います。ただ、今後もそういうことは起こり得ると思っています。
○記者 長期停止とは余り関係がないとお考えでしょうか。
○田中委員長 多分、長期停止だからどうかということと関係するかどうかということも、これから事業者がよく調べることになるのだと思います。長期停止しているとシールの部分がどういうふうになるのかとか、そういうことも含めて調べるというふうに聞いていますけれども。
○記者 あと1点だけ。定例会で更田委員から指摘もありましたけれども、重大事故対応の訓練で訓練不足であると。かなり再稼働直前の局面で、その準備が追いついていないのかなという印象を持ったのですが、それについては委員長はどのように考えていますでしょうか。
○田中委員長 今日も申し上げましたけれども、重大事故が起きたときの対応ですから、ちょっと体調が悪かったら、当然、かわりが出るとか、いろいろな対応が機敏にできなければいけないのだけれども、熱中症で何か2人、始まって1時間ぐらいで倒れてしまったというような報告があったので、耳に挟んだので、それはまずいねということを申し上げた。だから、そこはきちんと事業者の方で十分反省して、その体制をとってもらうということです。だから、運転前の保安検査になるのかな。

○司会 では、タカギさんは2回目なので、簡潔に。
○記者 大きく2点あります。
 1つは確認ですが、前回の計算が出てきた経緯なのですけれども、委員長のお話を伺っていると、結局、島崎先生の御指摘を受けて田中委員長から事務局の方にいろいろお話をされて、問題点が浮かび上がってきたと。これだと、今日の委員会の中でも随分いろいろなことが委員の方からも言われていたと思いますが、判断にそごを来す。要するに、判断の根拠にできないような情報が事務方から委員の方々に上がってしまったという状況かと思うのですね。
 さっきその経緯は別に検証するということではなくてとおっしゃったのだけれども、まず、そういうちゃんと判断の根拠に使えないような情報が上がったこと自体に対する受けとめと、それから、本当に経緯を検証しなくていいのかという、ちょっとまずそこの御見解をお願いします。
○田中委員長 経緯は十分に検証されています。ですから、別に悪意があってやったわけではなくて、悪意があるのだったら過小評価の評価だってできるのですよ。アスペリティなんていうか、滑り面を平均にしてしまうとか、そういうことをすればできるのだけれども、そういうことをしなかったということなのです。
 そういうこともあって、ところが、できるだけ大きくなるようにとやったところで非常に無理な前提を置いたということですので、そのことで十分にその辺の話が委員会の方に報告されなかったということについては、事務方も十分反省しているし、我々もそのことが見抜けなかったというのは、力不足というところを言われたらそれきりですけれども、だから、今回、そこは潔く訂正しましょうということです。
○記者 了解いたしました。それと、もう一点確認をします。前回提出された計算の結果の比較の可能性なのですけれども、我々、午前中の委員会が終わった後に事務局の方から報道陣に対して説明をしていただいておりまして、私は直接いなかったのですが、そのときに、小林勝さんかと思いますが、から御説明いただいたのは、入倉式と武村式を使った計算を比べて、何倍というようなことは言えないのだけれども、しかし、どっちが大きいかぐらいの比較には使えるのではないかと、こんな御説明をいただきました。委員長は一切比較に使えないというお話だったのですが、ちょっとここは御認識が食い違うのでしょうか。
○田中委員長 多分、小林さんの言った意味を私は正確には理解していませんけれども、普通の科学だと、前提が間違っていたらその結果は使えないですよね。コンピューターコードというのは、入力条件を変えればいくらでも答えが出るのですよ。だから、昔、ある先生が言っていたけれども、コンピューターを使えばノーベル賞クラスの発明は簡単だよねといつも言っていた。そういうことをおっしゃっていた、そういう先生もおるぐらいですから、やはりシミュレーションというのは、そういう計算というのは、そういう点できちんとそういうことを検証しながら、経験を重ねながら使わないと駄目だということなのです。
○記者 委員会の中で石渡委員からも、そういう相対比較の可能性はどうなのですかということを石渡委員の方から御質問されていたかと思います。それに対して櫻田さんは使える可能性もあるかもしれないみたいなお答えをされたのですね。そういう意味で、櫻田さんの説明と小林勝さんの説明は合っているのかなと。委員長の今の受けとめは少し食い違っているかなと思ったのですが、食い違っているなら、いるということでおっしゃってください。
○田中委員長 どういう意味で、もう一回御説明ください。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林でございます。
 ちょっと私の言葉不足だったかもしれませんけれども、やはり前提条件なりはしっかり説明した上で判断していただくというのが我々のポリシーでございますので、そこはちょっと説明不足だったといったところは申し訳ありません。
○記者 入倉と武村の結果を、それぞれの式を使った結果を、どっちが大きいかというぐらいは比べてよいというお考えでよろしいのですか。
○小林長官官房耐震等規制総括官 事務方としてはそういうふうに思っております。
○記者 委員長はその比較はできると思っていらっしゃいますか。
○田中委員長 いや、できないと思っています、私自身は。
○記者 食い違うということで分かりました。結構です。
○司会 では、最後に、カミデさん。
○記者 フリーランス記者のカミデです。
 今日、原子力委員会と懇談がありました。時間もないと思うのでちょっとはしょりますが、最後、原子力委員長がぶら下がりなんかでやりまして、一番今大切なことは何かと聞いたときに、やり取りの中でも言っていましたが、やはり国民の視点が大切であるということと、あと、一般に言われる独立性ということを言っておられました、透明性とか。
 それで、違うことを質問しようと思ったのですが、さっき出た関連がここにひっかかってくるので、どうしても聞いておきたいと思いまして御質問します。
 先ほど共同通信の方が、なぜ島崎さんの会見をここでやることを拒否されたのかということと同じことなのですが、フリーランスはフル会見なんかには出られません。余計そういう会見の開き方については関心があるのですが、一般の企業の電力事業者の方がやる会見はオーケーですよね。民間の方がやろうとしたときに、今回がそれに当たるかどうかは知りませんが、島崎さんは拒否されたと。この辺の違いはどこからくるのでしょう。
○司会 これは事務的なことになりますので、私の方から答えさせていただきますけれども、電力会社も必ずしも全て使っていいということにはしていません。やはり申請を持ってきたとか、いろいろな評価書を持ってきたとか、我々との関係性が明確であって、それをちゃんと原課も認識をしているということを確認した上で、ここで説明することを許しています。
 そういった意味では、一般の方々は基本的にそういう関係はございません。我々は一般の方々を規制していませんので、そういう関係はございませんので、やりませんが、ただ、いろいろな正式な異議申し立てとか、そういう関係性で来た場合には例外として許していると、そういう運用状況になります。
○記者 市民団体なんかが、もし原発にいろいろかかわっている方がやろうと思っても、そういうのは一般的には駄目だということですか。
○司会 それは我々との業務上の関係が明確であれば、やっているということであります。
○田中委員長そんなことをやったら収拾がつかなくなるでしょう。一日中ここにいろいろな人が押しかけるようになりますよ。
○記者 島崎さんの場合もそれに近いということですか。
○田中委員長 同じですよ、それは。
○記者 それで委員長はノーと言ったと。分かりました。
○司会 一般ルールで分類するとそういうことになるということで、幹事社さんにもそういう御説明をしていると思います。
○記者 本来の原子力行政の透明性とか、独立性とかということからいったら、ちょっと弾力的であってもいいのではないかなという感じが私はいたしますが、いかがでしょうか。
○田中委員長 全然関係ないと思いますよ、そういうことは。
○記者 物理的な制約ということでございますか。
○田中委員長 透明性というのは、私どもの判断とか、いろいろな議論の過程をオープンにすることであって、我々が全く関係しない方たちがここで話すということは、私たちがとっている透明性とは関係ないことです。
○記者 なるほど。一般的なアクセスのオープン性とは違うということですね。
○田中委員長 そういうことです。
○記者 分かりました。そういう認識ということですね。
○司会 それでは、以上で今日の会見は終わりたいと思います。お疲れさまでした。
−了−


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