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「大飯地震動 計算に不備」島崎氏会見

 関西電力大飯原発(福井県)の耐震設計の目安となる基準地震動を巡り、過小評価の可能性を指摘している島崎邦彦・東京大名誉教授(地震学、元原子力規制委員会委員)は15日、都内で記者会見し「過小評価されている可能性が非常に高い。議論や結論には納得できない。再計算するのが望ましい」と述べた。
 規制委は13日、島崎氏の指摘を踏まえて検証した結果「見直しは不要」と判断。担当者が島崎氏に結果を説明したところ「(島崎氏が)納得、安心した」と答えたと説明していた。
 島崎氏は会見で、関電が計算した基準地震動(最大加速度八五六ガル)は、用いた手法の特性から過小評価になっていると説明。過小評価ではないとした規制委の検証計算は、基準地震動策定の際に上乗せした「不確かさ」(安全余裕)を考慮していないなどの不備があり、誤っていると指摘した。
 島崎氏の簡易計算では、最大1550ガル程度になる可能性があるといい、「見直せば、現在の基準地震動は超えてしまうだろう」と述べた。
 規制委は、検証で得られた地震動は最大加速度六四四ガルで、基準地震動を下回るため、見直す必要はないとしている。

 ◇密室で結果伝達 規制委不透明な対応
 原子力規制委員会は透明性が身上のはずだ。関西電力大飯原発の地震動の再計算結果も、問題を指摘した島崎邦彦前委員長代理に、公開の場で伝えるべきだった。だが、伝えたのは非公開の場。不透明だとの批判を招きかねない。
 島崎氏は六月、田中俊一委員長と公開の場で面談し、地震動を過小評価している恐れがあると指摘。再計算が始まった。ならば、決着を付けるのも公開の場であるべきなのに、島崎氏に結果を伝えた場は密室だった。
 再計算結果を島崎氏に伝えたのは規制委事務局の職員。田中氏は記者会見で島崎氏の反応を尋ねられると「結果を見て安心したと言っていたと報告を受けた」と述べた。実際には、島崎氏は規制委の結論に納得しておらず、反応は間違って公表された。
 島崎氏は「誤解を解くために見解を公表したい」と、早急に記者会見を開くことを事務局に要望した。だが、事務局は田中氏と島崎氏が公開の場で面談する方が先と判断。会見ではなく、19日に面談の日程を入れた。島崎氏の発言を事前に抑制する狙いかとの疑念を招きかねない対応だ。(大野孝志)

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