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炉心損傷を隠した東電 経産省も一体で隠し通す メルトダウンを5年間隠した東電−マスコミは東電の責任を問うている しかし正しくは国の責任をも問うべきなのだ。 山崎久隆(たんぽぽ舎)

 事故当時東電は独自に定めていた「炉心溶融判断基準」を無視し、原子炉の状態を「メルトダウン」だったと認めたのが二ヶ月後の5月であると各社が一斉に報道している。
 この報道のきっかけは、新潟県技術委員会が原子炉の状態を東電がどのように把握していたかを調査していた過程で、委員会に東電から提供された過酷事故対策マニュアルの記述が明らかになったことだった。
 東電はこれまで、炉心損傷は事故段階から認めていたが、それが炉心溶融に至っていたことを明確にせず、国も同様に明確にしてこなかったが、過酷事故対策マニュアルでは炉心燃料の5%の損傷を確認した段階で炉心溶融が起きたと見なすことになっていた。
 1号機については3月11日深夜には炉心の30%損傷が推定されていたので、この段階で炉心溶融が始まっていることは、マニュアルに照らせば明確だったにもかかわらず、そのことを発表しなかった。
 これでは過酷事故対策は成り立たないし、自治体の原子力防災も特に避難判断に重大な誤りを引き起こす。
 この情報は国によっても隠ぺいされた。当時、報道対応をしていた中村審議官が「メルトダウンを起こしている」との趣旨の発表をした結果、西山審議官と交代させられた。枝野幹事長が「水がある」(水位が確認できたとの意味)と発表していたのにメルトダウンをしているとなると、大きな矛盾を来すからだろうと考えられたが、実態はもっと深刻であることが分かる。東電の過酷事故対策マニュアルは、経産省ももちろん知っていたし、原子力安全・保安院はそれを認可した当事者だ。
 メルトダウンを想定していたが発表はしないことにしていたのに、記者会見で語ってしまったからだった。そのこともいわば「裏付けられた」のだ。
 東電と官僚により隠されたメルトダウンの評価について、新聞各紙は東電の責任を問うている。しかし正しくは国の責任をも問うべきなのだ。
 当時メルトダウンの評価を「隠ぺい」した官僚は、規制委員会で工事計画認可申請書類の「隠ぺい」の作業を続けている。

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