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安倍政権、再稼働加速の構え 避難計画は審査対象外

 東京電力福島第一原発事故の影響で、全機が停止中の国内の原発の一つが再び動き出すことが確実になった。原子力規制委員会が16日、九州電力川内せんだい原発1、2号機鹿児島県について、新たな規制基準を満たすと認める審査結果をまとめた。安倍政権は「お墨付き」を得たとして他の原発の再稼働も加速させる構えだ。住民避難計画などの課題や事故の教訓は置き去りのまま、日本の原発をめぐる状況は事故前へと戻り始めた。
 今後、意見募集や細かな認可手続きは残るが、審査の手続きが戻ることはない。地元の鹿児島県や薩摩川内市も再稼働に前向きで、九電が同意を得れば、10月にも再稼働が可能になる。
 田中俊一委員長は記者会見で「これで十分だと言うつもりはないが、相当慎重に評価をしてきた。一つの山を越えた」と話した。
 安倍政権は4月に閣議決定したエネルギー基本計画で「規制委が基準に適合すると認めた原発は再稼働を進める」と明記。規制委の審査結果を踏まえて、前面に立って地元自治体の協力を得る方針だ。視察のため宮城県を訪れた安倍晋三首相は16日、審査結果がまとまったことについて、「一歩前進ということだ。立地自治体の理解をいただきながら、再稼働を進めていきたい」と記者団に語った。
 ただ、再稼働の責任の所在は規制委にあるのか政権側にあるのかあいまいなままだ。さらに、新基準による審査は、自然災害の想定や炉心が溶ける「メルトダウン」のような重大事故対策など原発の施設内が対象。住民を守るための防災や避難の計画は自治体に委ねられ、審査の対象外だ。
 規制委は川内原発の審査に職員を集中させていた態勢を元に戻し、ほかに申請のあった11原発17基の審査を本格的に再開させる。川内と同じタイプの加圧水型炉は審査のひな型ができたことで審査が早まる。関西電力高浜福井県は最終段階に近づき、九電玄海佐賀県や四国電伊方愛媛県、関電大飯福井県も議論がまとまりつつある。一方、東電柏崎刈羽新潟県など福島第一と同じ沸騰水型炉の6原発7基は審査が停滞気味だ。川田俊男、明楽麻子
2014年7月16日

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