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原子力規制委員会記者会見録


●日時:平成28年7月13日(水)14:30〜
●場所:原子力規制委員会庁舎記者会見室
●対応:田中委員長
<質疑応答>
○司会 それでは、定刻になりましたので、ただいまから原子力規制委員会の定例会見を始めたいと思います。皆様からの質問をお受けしたいと思います。いつものとおり、所属とお名前をおっしゃってから質問の方をお願いします。それでは、質問のある方は手を挙げてください。
○記者 毎日新聞のオカダと申します。今日の定例会で出た島崎さんが指摘したことを受けた再計算の結果についてですけれども、これは武村式で計算してみたということでしたけれども、入倉・三宅式と同じように不確かさを考慮していないと思うのですけれども、要は基本ケースしか計算していないと思うのですけれども、計算結果に対する委員長の見解と、あと、島崎さんにこの計算結果を伝えたかどうかということと、島崎さんの見解を聞いていれば教えてください。
○田中委員長 まず、今回の武村式を入倉の式と変えたというのは、モーメントの計算のところだけですよね。元々それぞれにどっちもみんな経験式なのですね。それぞれに、だから、そこに不確かさを持っているわけです。入倉・三宅式については、私どもとしてはそういう不確かさというのをきちんと考慮して、いろいろなというので、あそこに全部いろいろなことが入っていますけれども、そういうことでやってきているわけです。武村式の不確かさというのは、まだそんなに評価されているふうには私は理解していませんし、聞くところでは、別にそこに何かこうすべきだということはないです。あとは、その上でどういうふうに判断するかというのは、少し専門的な、工学的なジャッジというのが入ってくるのだろうと思います。だから、何でも同じようにやればいいのだということではないと思います。
 それから、島崎さんには、一応、結果の御説明をしていただきました。それで、非常に自分としては大飯の審査をやってちょっと不安だったのだけれども、きちんと速やかに評価をしていただいたことについて感謝したいということを申されて、結果を見て非常に安心したというふうに言っていたという報告を頂いています。
○司会 ほかにございますでしょうか。ハナダさん。
○記者 NHKのハナダと申します。今の島崎委員の指摘を受けた大飯原発の件の関連なのですけれども、島崎先生は、今回、不確かさの考慮の考え方について、どのようにお話しされていたでしょうか。
○田中委員長 詳しくは知らないけれども、島崎先生は不確かさがどうのということを言っていたわけではないと思いますけれども。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林でございます。島崎先生の方は、特に6月の面談の場でもそういったところに言及しておりません。今回もこの計算については、委員会での資料を逐一御説明して、御納得いただいて、安心したということでございました。
○記者 分かりました。あと、今回、島崎先生の指摘が、広い意味で考えると、今のレシピとかがありますけれども、今の手法というのが本当に確立したずっとベストなものでもなくて、やはりずっと更新していかなければいけないという広い意味も含まれていたと思うのですけれども、今回の一連の指摘を受けて、委員長としてどのように、今後、そういった制度のバックフィットといいますか、そういったところを考えていかなければいけないとお感じになられたか伺わせてください。
○田中委員長 一般論でしか申し上げられないのですけれども、要するに地震の方の専門家ではありませんので。ただ、こういうものを経験式に基づいて実際に、特に地震動みたいなものはなかなか実験するとか何かというわけにはいかないから、現実に起こったいろいろなケースについて、たくさんのケースを踏まえて経験式を出して、現実のいろいろな建造物とか、いろいろなことに対応してきていると思うのですね。島崎先生の御指摘からいうと、熊本の地震というのは、最近、近年起こった非常に大きな地震だし、いろいろな関連データも比較的きちんととれているので、そういうものを踏まえてもう一回きちんと、今までのが駄目だとか、どうというよりは、そういうのもきちんと踏まえてやるべきだろうということなので、そのことについては、石渡委員の方からうちの耐震関係の部門に、熊本の地震についてはきちんとフォローしてくださいということになっています。ですから、一般論としては、おっしゃるように、こういう科学技術の問題ですけれども、どうしてもそこだけで全部、絶対的な真理にできない場合には、ある程度現実の社会では経験とか、そういうものを踏まえていくわけですね。そこにいろいろ何か新しい知見が加われば、それを加えてきちんと評価をして確認していくという、そういうプロセスは私は必要だと思います。今日もそういう点で、だから、そちらの専門の分野でそういうことをやっていただきたいということを、ちょっと余計なことですけれども、申し上げたわけです。
○記者 最後の点についてなのですけれども、確かに学会とかでレシピの議論とかというふうなものがまずあるというのは大きいところでもあると思うのですけれども、規制委員会としても、電力会社のデータを含めて、かかわっていける部分というのはあると思うのですけれども、今後、そういった強震動予測の見直しについて、規制委員会とか規制庁としてのかかわりについてはどのようにお考えになっているでしょうか。
○田中委員長 規制委員会とか規制庁というのは、その分野の専門、そういう学問的な議論をする場ではないので、基本的にはほかの基準もそうですけれども、一般的にいうと、もう少し学問的な世界できちんと評価をされて、要するに、いろいろな意味で検証されたようなものを積極的に取り入れて使っていくと。そのときは、新しい知見が本当に入ってくれば、それも含めて取り入れていくというのが基本的立場です。だから、地震のことについて特別に今回やろうということは今は考えていないですけれども、何かありますかね。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林でございます。先ほど委員長が言われたように、石渡委員の方から、スポット的ですけれども、熊本地震についての知見を収集しろということを指示していますので、それに基づいて、いずれ基盤グループの方だと思いますけれども、そちらの方から情報発信なりをしていくということはあると思います。これは1つの例ですけれども、そういう意味では、やはり情報発信できるところは情報発信していきたいというふうに考えております。
○司会 ほかにございますでしょうか。オカダさん。
○記者 今の件で追加でお願いしたいのですけれども。
○司会 お名前を。
○記者 済みません、東洋経済のオカダです。武村式についても不確かさの範囲内であるということが委員会の中で確認されたということなのですけれども、本来であれば武村式の計算を一つの基準にして、例えば資料にあるようにレシピの平均×1.5倍とか、そういう計算をすべきなのではないかというふうに思うのですけれども、これはそのようになさらずに1本の試算だけにしたというのは、どのような理由によるのでしょうか。
○田中委員長 先ほど申し上げましたように、入倉・三宅式にはいろいろ不確かさというものを考慮しなければいけないというところがあって、それをずっと入れているわけですよね。武村式については、そういうものがどういうものなのかというのは今何も情報がありませんので、だから、武村式というのは、それほどどこまで検証されているのか私どもも分かりませんので、別に何でも1.5倍すればいいという、そっちも1.5倍したのだからこっちも1.5倍しろとか、そういうふうなものではないと思いますけれども。一応、1.5倍というのにも根拠があるわけです。ただえいやと1.5倍したわけではないということです。
○記者 ということは、先ほどの石渡先生のところでは、今後、いろいろ熊本地震の研を進めていく中でその辺の知見が積み重なって、仮に例えばそういう一定のある程度倍率を見た方がいいとか、そういうような判断になってくれば、今後それがまたもとになってバックフィットという形にもつながってくるという、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○田中委員長 調べたら1.5ではなくて0.5になるかもしれませんね。だから、一概にあまりアプリオリにそういう思い込みでやるのは、逆に間違いのもとになります。
○司会 ほかにございますでしょうか。前の方。
○記者 ロイターのツキモリと申します。島崎前代理は、先月、地震の可能性が指摘されたにもかかわらず、東電の防災対策に取り入れられなかった、同じ想定外の災害が再現されるのではないかという危機感を抱いておられましたが、規制委員会として島崎氏の見解に対する十分な検証がなされたというふうにお考えですか。あと、2つ目に、規制委員会が電力会社や政府から原発再稼働をできるだけ早くするようにせかされていないかどうかという点をお伺いしたいと思います。
○田中委員長 2番目の答えの方が簡単だから、そっちから言いますが、ありません。逆に言うと、いろいろな御意見がありますけれども、そういうことには私どもは左右されることはないということです。それから、東電の事故の要因として島崎さんが言っていたのは津波評価のところですよね、地震動ではなくて。津波評価がきちんと、その当時の自分の指摘をきちんと受けとめてもらえなかったということに対する自己反省の中で、今回、日本海側についても武村式を使うべきだということで、私どもは津波については武村式を使っていますから、その点については何も問題ないと思いますが、推本のレシピだと津波も入倉・三宅を使っているのかな。必ずしもそうでもないのかな。
○小林長官官房耐震等規制総括官 津波評価は土木学会の方でございまして、これは武村式ということで、土木学会の方もいわゆる武村式に合わせたような津波評価をしているというのが実情でございます。
○田中委員長 だから、今回の件について島崎委員の指摘は、結論から言うと、きちんと私どもとしては誠意を持って応えたと思っていますし、そのことは島崎先生もきちんと受けとめていただいたというふうに思います。
○司会 ほかにございますでしょうか。それでは、アベさん。
○記者 日本経済新聞のアベと申します。島崎先生の問題につきまして、2つお尋ねいたします。1つが、島崎先生が6月中旬に来られて、結果が出るまで大体1ヶ月ぐらいかかったかと思います。この間、いろいろ規制庁さんは、いつもそういう人手が結構足りないということは何度もお伺いしているのですけれども、結果的にこうしたマンパワーであるとか、あと、時間がこの間かかったということについて、どう思われるかというのがまず1つ。2つ目が、入倉・三宅式は玄海、高浜も同じように使っているかと思うのですけれども、これについては再計算はしなくていいという判断が今日お示しされたかと思うのですけれども、これについて改めてその根拠を教えていただければと思います。
○田中委員長 まず、時間がかかったというのは、時間なんかかかっていないのではないの。どうですか。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林でございます。1点目の方を私の方からお答えしますと、今日御説明した資料1の2ページ目にレシピの考え方があるのですけれども、地震動計算は何も地震モーメントだけを計算するだけではないのですね。いわゆる断層モデルを作って、地盤のモデルを構築して、これは相当時間がかかるものなのですね。だから、言ってみれば、単に地震モーメントを比較するのだったら3倍、4倍とかいう計算ですぐ出てくるのですけれども、最終的な地震動評価というのは相当やはり時間がかかるものでして、今回は相当基盤グループの方で本当に徹夜も覚悟でやった結果でございますので、時間がかかったというわけではございません。これだけ時間がかかるというものでございます。
○田中委員長 それから、高浜について見ると、島崎委員との話のときにもそうですけれども、今日も出ていたという報告を受けていますけれども、距離も遠いし、ですから、地震モーメントそのものが今後どういうふうに伝播して基準地震動に影響するかということからいうと、高浜の方は距離が遠いし、あまり影響はないでしょうと。一番近い大飯のところで確認できれば、それでいいと。玄海についてはこれからの審査になりますので、今ここでどうだということではないですけれども、基本的には、特に何かやらなければいけないというような状況が生まれるかどうかは、活断層とかの性状とか、地盤のいろいろな状況を勘案して、ある程度私どもとしての専門的なジャッジの中で今回のようなことを求めるかどうかも含めて考えることになると思いますけれども。だから、一概にやる、やらないとかということを決めているわけではないですけれども、基本的にはやる必要はないでしょうということですね。
○司会 ほかにございますでしょうか。シズメさん。
○記者 共同通信のシズメです。大きく3点お尋ねします。委員会でも専門家の意見は聞いていないというようなやり取りがあったかと思うのですが、大飯の地震動の再計算についてですけれども、委員の中にも地震動の専門家は1人もいらっしゃらないし、規制庁の方がどうなるかというのはよく分からない面もありますが、この検証でいいのかどうかということを外部の専門家、強震動計算の専門家にやはり聞いてみることも必要なのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
○田中委員長 うちにはかなりの専門家がいますけれども。でも、一々そういうことをしなければ信用されないのだったら、それは判断の問題ですけれども、私どもとしてはきちんとやっていただいたと思っていますけれども。
○記者 分かりました。それから、今回は、先ほど事務方のブリーフィングでも説明がありましたけれども、重ね合わせる不確かさと重ね合わせないでいい不確かさがあると。今回の地震モーメントは重ね合わさないでいい不確かさに入れるのだというふうなことを決めたということでよろしいですか。まず、これは確認です。
○小林長官官房耐震等規制総括官 また繰り返しになりますけれども、いわゆる不確かさの組み合わせには認識論的な組み合わせと偶発的な組み合わせがあって、その1分類として認識論的不確かさの中で今回武村式をやったということで、これは今までの審査の中では他のパラメータは組み合わせないと。ただ、偶発的なものについては、これは組み合わせるというふうに審査の中で見ていますので、それに応じたような形で、今回、試計算してみたということでございます。
○記者 分かりました。ただ、本質的にちょっと違うのではないかと思うのは、今日の説明でもそうだったですけれども、地震モーメントが変わると短周期レベルが変わって、更に応力降下量も変わっていくと。モーメントを変えることでいろいろなパラメータが変わっていくというものですが、例えば重ね合わせないほかのパラメータというのは、短周期レベル、断層傾斜角、滑り角、破壊伝播速度と、連鎖的に何かパラメータが変わっていくようなものとはちょっと違うのではないかと思うのですね。本質的に違う性質の地震モーメントというものを同じように重ね合わさないでいいというふうに決めてしまっていいものでしょうかというところがちょっと疑問ですが、いかがでしょうか。
○田中委員長 私の理解が正しいかどうかは後で小林さんによく。地震モーメントと不確かさというのは別に一体のものではなくて、地震モーメントというものの評価が出て、それが実際のSsとか、原子炉の建屋の直下にどういうふうに伝わっていくかというところはいろいろ違ってくるのではないですか。だから、要するに入倉・三宅は面でやっていますよね。武村式は長さでやっているとか、そういういろいろな状況が違うので、細かい詳しいことは私もよく分かりません。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林です。先ほど来、事務のブリーフィングの中でもいろいろお答えさせていただいたのですけれども、結果的に今回の島崎先生の要望は、あくまでもレベル感を教えてくれと。本当に大まかな計算をやって、実は精緻なデータというのは全て事業者から入手しているわけではないので、そこまでは私どももこの計算の中には入れていないのですけれども、精緻な計算を、いわゆる再評価ではなくて、試しに計算をやって、あるレベルの中におさまっているかどうかを確認してくれという要望でございましたので、その要望にはきちんとお応えしたような不確かさの組み合わせをさせていただいているというふうに思っていますし、島崎先生はそれを理解していただいたというふうに思っています。
○記者 質問と答えが対応していないのですけれども、重ね合わせないでいい不確かさ4つと重ね合わせる不確かさの2つ、これは保安院時代から慣行的にやってきたものだというふうにこれまで聞いていますけれども、一度明文化しようとしましたよね、保安院のときに。結局、明文化をしなかった。今でもされていないと思いますけれども、これがなぜこういうふうになっているのかとか、これでいいのかということを、もう一回ルールを見直した方がいいのではないかというところも問題なのではないですかね。つまり、地震モーメントを本当に不確かさを重ね合わさなくていいという方に入れてしまっていいのかどうか、こんな簡単に決めてしまっていいのでしょうか。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林です。先ほども申し上げましたけれども、今、シズメさんがお持ちの紙なのですけれども、これは高浜の例を先ほど示させていただいたのですけれども、大飯であり、伊方であり、全て審査の中でこういった組み合わせなり、考え方がいいかどうかというのも確認しております。その結果、伊方とか、そういったところについては許可を出しているということでございますので、これは審査の中で確認するものだという位置付けでございます。
○記者 最後の質問にします。委員長、今日の結果を受けて、結局、武村式と入倉・三宅式を使う場合を比較して、武村に対して入倉・三宅は過小評価ではないというふうな結論でよろしいのですね。
○田中委員長 地震モーメントの値自身は、武村式の方が過小か、過大かはよく分かりませんけれども、片方から見れば過小だし、片方から見れば過大だし、そこはそういうことになっているのだと思います。
○記者 武村の不確かさの乗せ方が分からないのに、基準地震動でも過小評価にはなっていないというふうに言ってしまっていいのですか。武村から基準地震動を作る手法がないということをおっしゃっているのだと思うのですけれども、そうすると、基準地震動自体が過小ではないというふうなことが果たして言えるのかどうか。
○田中委員長 基準地震動は出しましたよね、今日。
○記者 これは不確かさを乗せていないことですよね。
○田中委員長 ある程度の不確かさというのは共通のところもあるし、アスペリティのとり方とか。
○記者 武村の話ですよ。これは不確かさを全く乗せていない数値ですよね。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林でございます。御説明しますと、載せている、載せていないというのは、過小評価、過小評価ではないという議論ではなくて、島崎先生は、とりあえず入倉式のかわりに武村を入れてみて、例えば、それを入れてみて、地震動評価がおさまるかどうか、こういったところを確認してくれということでございますので、過小評価云々の話は、先ほど来、委員長からお話ししているように、学会とか、そういったところでまた議論すべきところであって、我々は最終的な地震動評価が適切かどうかというところを審査しているわけでございますので、その点は御理解いただきたいと思っています。
○記者 櫻田部長に委員長が聞かれた、参考の表のどの数値と比べればいいのか、Ss-4と比べるのが一番よかろうという話だったと思うのですが、Ss-4は短周期1.5倍係数、破壊開始点3という不確かさを見込んだ数値ですね。今回の試計算では、破壊開始点3だけ取り入れている。これは本当に同じ土俵で比較していいのかどうかというのが最後の質問です。
○田中委員長 その同じ土俵という意味ですけれども、私も随分勉強させてもらいましたけれども、武村式というのは地震動の長さで決まっているのですね。片方は面積ですね。ディメンジョン違うよね。それでどうしてああなるのかというのは、なかなか理解しにくいのです、普通の科学の感覚から言うと。だから、一概に、シズメさんがおっしゃるような比較ができるのかどうかということは、そもそもがどっちも経験データに基づいた経験式なので、それが本当にどういう評価をすべきなのか、不確かさをどう見るべきかというのは、今後、専門家の中で、全体のデータの評価の中でやっていただくしかないと思います。私のところでそうだということではなくて、当面、とりあえずは、今やっているやり方でやっても、きちんと、我々の不確かさを含めた評価の範囲に入っていることを確認したということです。
○司会 ほかにございますでしょうか。マエダさん。
○記者 新日本新聞のマエダです。大きく2点お伺いします。1点目は、先ほど再計算の話で、高浜と玄海については再計算する必要がないというお話で、高浜については距離が遠いということをおっしゃったのですけれども、玄海について、基本的にやる必要がないというお考えの理由を教えてください。
○田中委員長 基本的には、今やっているやり方でいいだろうということですが、玄海はこれから審査ですね。少しね。ですから、その状況を見て、その必要があるかどうか。要するに、今回、FO-A、FO-B、熊川断層というのは非常に長い断層ですね。普通は20〜30キロメートルぐらいだけれども、今度は60キロメートル近いですからね。そういうことも含めて、それから、先ほど来、議論しているように、地震モーメント、地震が起こるところから実際の地震動につながるところまで、いろいろな要素がありますので、そういうのを見ながら判断することになるでしょうということです。ただ、原則としては、やる必要ないでしょうね、すぐにどうこうという対応をしなければいけないということではないねということです。
○記者 基本的に玄海原発については、既に基準地震動についてはおおむね了承ということになっていると思うのですが、それはまた引き続き基準地震動に戻って審査があるということでしょうか。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林でございます。おおむね了承と言っても、まだ評価書というか、審査書ができ上がったわけではないので、審査書ができ上がって許可になる段階まで、中身の修正なり、そういったものはあり得るということだと思いますので、その辺は御承知おきいただきたいと思います。
○記者 あともう一点、鹿児島県知事選の関係なのですけれども、当選した三反園訓さんが、熊本地震を踏まえて川内原発の一時停止と再点検、あと避難計画の見直しを公約に掲げていらっしゃるのですけれども、規制委員会として、熊本地震発生後、川内原発は安全上問題がないという判断をされていると思うのですが、仮にの話で恐縮なのですけれども、三反園さんが原発の停止と再点検を規制委員会に求めた場合に、どういう対応をとることが可能でしょうか。
○田中委員長 対応って、私どもの判断とか、そういうことについて、政治的なことについて影響を受けてはいけないというのが原則ですから、そういうことです。熊本の地震のときに、私どもが一応、委員会の中でも議論して、今、特に差し迫った問題はありませんねということで今日まで来ていますので、そういうことですから、その判断の根拠の説明を求められれば、それは説明することになると思いますけれども、それ以上のことはできないと思います。
○司会 ほかにございますでしょうか。マエダさんの後ろの方。
○記者 愛媛朝日テレビのモリタと申します。伊方原発についてなのですが、明日から重大事故を想定した総合訓練が2日間の日程で行われまして、下旬には再稼働が見込まれていると思うのですが、現在、松山、広島、大分地裁で運転差し止めの仮処分の申請がなされていると思うのですが、そういった訴訟リスクを抱えたままでの再稼働になるとは思うのですが、そういった状態については、委員長はどのようにお考えでしょうか。
○田中委員長 裁判のことについて、私自身がどう思うかと言われても、何かコメントする立場ではありませんし、できるようなものでもありませんから、何もありません。
○記者 原発は安定的なエネルギーの供給というのが一番の大きな特徴ではあると思うのですが、高浜原発のように、再稼働したとしてもとまる可能性があるということについてはいかがでしょうか。
○田中委員長 それは私どもの所掌の範囲ではなくて、安定的な電源として利用するとか何かということは、国のエネルギー政策とか、そういう中で、そういう位置づけをされているというのは承知していますけれども、私どもがそれについて何か言う立場ではありません。
○司会 ほかにございますでしょうか。タケオカさん。
○記者 共同通信のタケオカと申します。先ほどの川内原発の関連で1点だけお願いしたいのですけれども、今後、まずは九州電力なり、県知事との間のやりとりになるのかとも思うのですけれども、委員長御自身としては、知事が求めている、一旦停止して、安全性をまた点検するということの妥当性についてはどのようにお考えでしょうか。
○田中委員長 私どもとしては、十分に安全審査をやっていますし、熊本の地震が起こった後も評価もしていますから、特に私どもから何かするということはありません。
○司会 ほかにございますでしょうか。ヤマグチさん。
○記者 プラッツのヤマグチです。手短に確認までです。先ほどの地震動の件で、こういう試算結果が出たということで、基本的には規制委としては、これから対象となり得るのは、高浜は遠いからということで、玄海のみと。ただ、基本的には、これまでどおり入倉・三宅式を用いてということでよろしいのでしょうか。玄海のみならず、これからの他の発電所の審査においてもという意味ですけれども。
○田中委員長 今、特に変える必要はないということを今日の結果で確認したということです。
○記者 懸案となっていました大飯原発、この審査はこれからなわけですが、それにおいても何ら審査が、順番が回ってきて取り組んでいく過程においては、今回の件が、一応、結果は出たので、それに対する影響というのは、早まりもしなければ遅くもならないという、何ら影響というのは特になしという御理解でしょうか。
○田中委員長 大飯については、今まで幾つだっけ、地震動を特定するのは16だっけ、19でしたっけ、特定しないのは2つ入っていましたね。17プラス2ですかね、それについて評価をしてもらって、そういう評価の中で決められたSsを、今回の武村式の評価では下回っていることを確認できたから、それはそれでいいと思っています。
○記者 別に影響めいたことは、今のところ、考えてはいらっしゃらない。
○司会 ほかにございますでしょうか。イワタさん。
○記者 日本テレビのイワタといいます。伊方原発について、改めて委員長の御見解を伺いたいのですけれども、審査でも重要な論点であった、中央構造線が伊方原発のすぐ沖合には通っていますけれども、非常に大きな揺れを起こすことが試算されていて、その分、対策もとっているとは思います。このような至近に活断層があって、あらかじめ大きな地震が想定されている原発をこれから稼働する上で、委員長はどのような懸念をお持ちでしょうか。
○田中委員長 懸念というよりは、ですから、できるだけ安全サイドに地震動の設定をして、それに対する耐震性を評価して、それで十分に確認できなければ稼働は認めていませんので、そういうプロセスを踏んでいくということです。だから、一般的に大きいからとか、小さいからということではなくて、それに見合った備えができているかどうかということで判断しているということです。
○記者 もう一点なのですけれども、中央構造線という大きな断層帯が至近にあるサイトというのは、国内においても、海外においても珍しいのではないかと思うのですけれども、近隣の住民を取材しますと、こんな大きな断層が近くにあるのに、本当に再稼働させていいのかと、こういう単純な疑問を投げかけられるわけなのですけれども、このような住民の疑問に対して、委員長はどのように御見解というか、お答えをお持ちですかね。
○田中委員長 なかなか定性的な御質問で、答えにくいですね。私どもとしては、基本的には、きちっと評価をして、科学的に、それに対応できるかどうか、工学的な対応ができているかどうかということで判断していくことを原則としています。
○司会 ほかにございますでしょうか。それでは、今、手を挙げている3名の方で終わりたいと思います。まずはナカムラさん。
○記者 時事通信のナカムラと申します。単純な質問で恐縮なのですけれども、今回、再計算されて、十分余裕を持っていることを確認されたということなのですけれども、基準地震動についてですね。基準地震動を仮に超えるような事態が発生した場合は、どう責任を取られるのでしょうか。
○田中委員長 ちょっとよくわからないな。要するに、そういう頭の問答ではなくて、きちっと評価をして、そういうことで専門的知見も入れて判断したということですので、一種の仮定ですよね。
○記者 十分な安全性を確保されているわけではないということですかね。
○田中委員長 そんなことはないと思いますよ。基準地震動を超しているって、そうすると、いろいろな機器の固有振動とか、そういうのを評価していくことになると思いますけれども、全部それは範囲内に入っていることを確認したわけだから、いろいろお考えかもしれないけれども、御心配かもしれないけれども、それ以上のことを今ここで何か申し上げることはできないと思います。
○記者 そういうことはないという、心配はないという理解でよろしいですか。
○田中委員長 今、心配する必要はないと思います。その点については。
○記者 ありがとうございます。
○司会 タナカさん。
○記者 雑誌科学のタナカです。同じく大飯の地震動再計算の件ですけれども、今までの質疑の中で委員長がお答えになった中に、入倉・三宅式も武村式も両方ともに経験式だとおっしゃいましたね。そのとおり、データに依存した適用条件というものがあるはずです。既に前回の島崎先生との面談の後の報道の中で毎日新聞が報じたもので、入倉先生がこうおっしゃっているのですね。地震の揺れの予測に使う場合には、断層面が垂直に近いと地震規模が小さくなる可能性はある。行政判断として過小評価にならないよう注意しながら使うべきだとお答えになっているわけです。それで、これまでの質疑の中で、重なるのですけれども、島崎先生の御指摘は、断層面が高い場合において過小評価になるということを御指摘になって、今回の熊本地震においてそのことが実証されたということで面談されたということです。
○司会 質問は簡潔にお願いします。
○記者 したがって、入倉・三宅式をこれからも使い続けるとおっしゃるのですけれども、適用条件というものを考えないといけないのではないかと。つまり、島崎先生、面談のときに御指摘になっていましたが、西日本において問題になるのが、断層面が垂直に近いものが多いから問題になるのだと。入倉・三宅式は、入倉先生御自身がおっしゃっているように、断層面が垂直になると過小評価になるのだと言われているわけで、適用条件に入っていないわけです。適用条件が満たされていないと考えられるわけですね。審査の中でも、熊本地震について。
○司会 たびたびで申しわけないですが、簡潔に。
○記者 ですから、これからも使い続けるとおっしゃるのですけれども、審査の中で個別に対応するとすれば、大飯原発や玄海原発の審査の中で、この式を適用していいかどうかということを行政判断されなければならないのではないでしょうか。
○田中委員長 だから、それが不確かさの中に全部考慮されて、例えば、今回の大飯で言うと、傾斜は過去、75度にしたのかな。そういう評価もしていますね。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林です。今、委員長が申し上げたのですけれども、まさに入倉・三宅式というのは、いわゆる地震動評価の中の本当に一部なのですね。ほかの部分で不確かさを見ていますし、なおかつインプットのときの、まさに今、おっしゃられているように、適用条件いろいろ考えながらと、まさにそのとおりなのですね。そのときにもし垂直であれば、断層長さをもっと長くとるとか、地震発生層の深さをちょっと厚目にとるとか、いろいろな不確かさのとり方がありますので、それはケース・バイ・ケースでいろいろやっていくことになると思います。ですから、地震モーメントだけが地震動評価の全てではなくて、いろいろなところでの不確かさ、こういったものを十分いろいろ検討しながら適用していくべきではないかというのが入倉先生のコメントだと思っています。
○記者 そもそも、使うべきでない式を適用してしまっていたら、不確かさもくそもないわけです。今のお話は、福島事故に至った津波評価と全く同じ構造なのですね。原発と大津波という、岩波新書に書かれている。
○田中委員長 演説はやめさせてください。津波の問題と地震の問題はちょっと違いますからね。武村式でも逆に断層面が非常に緩い場合には過小評価になるというところもありますから、おっしゃる意味はわかりますよ。経験式だから、条件に適用範囲があるだろうとか。だから、そこを踏まえて、我々としては判断をしながら、それを適用していくということなのであって、そういうことですから、これ以上答える必要はないでしょう。
○記者 ですから、入倉・三宅式をこのケースに適用していいかどうかという御判断、もう一度お聞かせください。
○田中委員長 それ以上答える必要はありません。
○司会 最後にミヤジマさん、お願いします。
○記者 『FACTA』のミヤジマです。今日の内部脅威と個人認証というのは、私はグローバルスタンダードに向けた第一歩だと評価したく思います。問題は実効性だと思うのですが、読み込めてはいないのですけれども、今日出てきたガイドラインの3ページに、その対象は元請・下請も含むのだと書いてあるわけなのですが、今日、事務方から1万何千人という対象が出てきていますけれども、元請・下請を含めた人数はどれくらいと当局は見ておられるのでしょうか。
○江口長官官房放射線防護グループ原子力災害対策・核物質防護課核セキュリティ・核物質防護室長
 核セキュリティ室長、江口でございます。正確な数はまだ算定しておりませんが、事業者との意思疎通の過程では、全体で数万人程度になると伺っているところであります。
○田中委員長 多分、比較的確実なのは、個人線量計を管理区域に入る人は義務づけられていますので、その数から言うと、5〜6万、ちょっと時代が古いかもしれませんけれども、それぐらいはあったように、私の記憶ではあります。
○記者 ガイドラインには、電力事業者がかわって確認するものとするという一行で書いてあるのですけれども、私はここが全てだと思っていましてね。今の原発の現場の脆弱性というのは、下請多層構造という中で、これを厳格に適用していけば、恐らく事業者の側からすれば、2次下請とか、それぐらいで、5次、6次などというのを認証できないというのが実態だと思うのですけれども、この制度を当局がちゃんと適用して、下請多層構造というところにもリスク管理という意味で踏み込むお考えはあるのかどうか、その辺、伺いたいのです。
○田中委員長 例外あるのですか。ないでしょう。
○江口長官官房放射線防護グループ原子力災害対策・核物質防護課核セキュリティ・核物質防護室長
 核セキュリティ室長の江口でございます。下請構造自体について切り込むかどうかについては、今回の制度とは直接関係しない点でございますけれども、いずれにいたしましても、今回の制度におきましては、いわゆる協力会社の従業員の方についても、確認の責任は直接施設を運営する、例えば、電力会社にあるということでやっておりますので、今、御懸念の点については、それで相当程度解消できる話ではないかと考えております。
○記者 最後に伺いますが、普通の原発と1Fは全然違って、1Fは人数も多いですし、1年もすれば半分ぐらいはニューカマーになったり、全然違う人が入ってくるわけですね。そうすると、ガイドラインをつくるにしても、定検で作業員がぐるぐる回っている普通の原発と、1Fのように実質的には土木工務員みたいな人がどんどん入ってきているのと同じガイドラインというのは私はよくわからないのですけれども、本来的には、リスクも違えば、人の流れも違うわけだから、特定施設については親切なガイドラインを作らないと、東京電力も、たくさん働く下請の人たちも非常に困るのではないかと。パブコメでそういう意見を出そうかと思うぐらいなのですけれども、1Fの認証という問題について、当局というか、田中委員長にお考えを伺いたいと思うのですが、その辺、どうでしょうかね。個人認証と1Fの問題ですね。
○田中委員長 御指摘の点は理解はできますけれども、どういうふうに具体的に実効性のあるものにしていくかということについては、個々の事業者とも相談する必要はあるだろうとは思います。
○江口長官官房放射線防護グループ原子力災害対策・核物質防護課核セキュリティ・核物質防護室長
 核セキュリティ室長、江口でございます。今、ガイドについては共通だというお話がありましたけれども、結局、核物質防護規定でありますとか、1Fの場合は実施計画と申しますけれども、こちらの変更認可の申請及び審査につきましては、皆様方の目にお示ししながらというわけではないのですけれども、それぞれ個別に審査を行いますので、全部一まとめで一律ということではございません。
○記者 1Fについては、事業者とか、下請とか、全然幅とか広さが違うのですね、普通の原発の作業員のところとは。初めて1Fで仕事をする業者もいっぱいいるわけですね。すると、全然違うような形で公開されるのですか、そのルールみたいなのが。どういうふうになるのですか。
○江口長官官房放射線防護グループ原子力災害対策・核物質防護課核セキュリティ・核物質防護室長
 結局、実施計画なり、核物質防護規定というのは、事業者がどういった対策が必要かということをまず一時的にお考えをいただいて、それが適正かどうか、リスクに応じて我々で審査をするという構造になっておりますので、もし1Fが何かほかのところと違ったリスクの高さをはらんでいることを事業者で御自覚をされておられるということであれば、それが盛り込まれておりますでしょうし、我々としてもそこはきちんとそういった審査に、考え方に反映していくことになると思います。
○司会 それでは、本日の会見は以上としたいと思います。お疲れさまでした。

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