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原発審査の地震想定で過小評価のおそれ 対応検討へ

 原子力発電所の再稼働の前提となる審査で、地震などの自然災害を担当していた原子力規制委員会の元委員が、一部の原発の地震の想定が過小評価になっているおそれがあるとして、審査などの見直しが必要だと指摘し、規制委員会は元委員から聞き取りをして対応を検討することになりました。
 聞き取りが行われるのは、原子力規制委員会で自然災害を担当し、おととし退任した地震学が専門の島崎邦彦元委員です。
 規制委員会の審査では、想定される最大規模の地震の揺れ「基準地震動」が決められ、これを基に原発の耐震対策がとられます。島崎元委員は基準地震動を求める計算式のうち、「入倉・三宅式」と呼ばれる式が、西日本の日本海側に多い断層面の傾斜が垂直かそれに近い横ずれ断層で使われた場合、基準地震動が過小評価されるおそれがあると指摘しています。
 同じような横ずれ断層とされる、ことし4月の熊本地震のデータでこの計算式を使ったところ、ずれ動いた量などが公表されている推定値より小さくなったということです。そして、すでに審査で了承が得られた福井県にある大飯原発のほか、同じく福井県の高浜原発、佐賀県の玄海原発もこうした条件に当てはまるとしています。
 島崎元委員は「審査を担当していた当時は、確定的なデータがなかったが、熊本地震が再現できず、過小評価のおそれを確信した。より正しく推定する手法で地震動の計算をやり直すのがいちばんだ」と述べ、原発の審査や評価手法の見直しが必要だとしています。
 指摘を踏まえて、規制委員会は16日にも島崎元委員から聞き取りをして、対応を検討することになりました。
 新しく得られた知見を対策に反映させることは、福島第一原発事故の大きな教訓の1つで、規制委員会の対応が注目されます。

     計算式の考案者「過小評価にならないよう注意を」

「入倉・三宅式」を考案した京都大学の入倉孝次郎名誉教授は「入倉・三宅式は地震波の観測データの解析によって確認された計算式で、科学的な有効性はいくつかの論文で検証済みだ。ただ、地震の揺れの予測に使う際、断層面の傾きが垂直に近いケースでは断層の面積や地震の大きさが実際よりも小さくなってしまう可能性はある。原発の審査では行政的な判断として、あえて傾きを緩やかに設定するなど過小評価にならないよう注意しながら使うことが大切だ」と話しています。

     原子力規制庁「どういう趣旨か直接聞く」

原子力規制庁の松浦克巳総務課長は会見で「島崎元委員は原子力発電所の審査に携わった人でもある。どういう趣旨で話されたのか本人から直接聞き、田中委員長やわれわれの見解も示したい。一般論だが、新しい知見が出れば安全面を最大限配慮して対応していく」と話していました。

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