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原発報道「公式発表で」…NHK会長が指示

 識者「独自取材、萎縮させる」

 NHKが熊本地震発生を受けて開いた災害対策本部会議で、本部長を務める籾井勝人(もみい・かつと)会長が「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と指示していたことが22日、関係者の話で分かった。識者は「事実なら、報道現場に萎縮効果をもたらす発言だ」と指摘している。

 会議は20日朝、NHK放送センター(東京都渋谷区)で開かれた。関係者によると、籾井会長は会議の最後に発言。「食料などは地元自治体に配分の力が伴わないなどの問題があったが、自衛隊が入ってきて届くようになってきているので、そうした状況も含めて物資の供給などをきめ細かく報じてもらいたい」とも述べた。出席した理事や局長らから異論は出なかったという。

 議事録は局内のネット回線を通じて共有され、NHK内には「会長の個人的見解を放送に反映させようとする指示だ」(ある幹部)と反発も聞かれる。

 砂川浩慶・立教大教授(メディア論)は「会長には強い人事権がある。発言が事実なら、萎縮効果をもたらす発言で問題だ。熊本地震で起きた交通網の遮断を前提に原発事故発生時の避難計画の妥当性を検証したり、自衛隊と地元自治体との連携について振り返ったりするといった独自取材ができなくなる恐れがある」と指摘する。

 NHK広報部は「部内の会議についてはコメントできない。原発に関する報道は、住民の不安をいたずらにあおらないよう、従来通り事実に基づき正しい情報を伝える」としている。【丸山進】

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