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地震2日後も東電プレジデントも知らず:計11箇所で使用済み燃料プールから溢れる まさのあつこ

12/2(金) 15:48
 11月22日の福島県沖の地震(最大震度5弱)では、東京電力の福島第一原発と第二原発で、数々の異変が報告された。
 第一原発では(1)港湾のシルトフェンスが1〜4号前と5〜6号機前で損傷し、(2)共用プール建屋のプール南側で水溜まりができ、(3)港湾内の防波堤先端に設置している海水放射線モニタが停止した。また、福島第二原発では、(4)3号機の使用済燃料プールの冷却水ポンプが停止、(5)配電線が停電、(6)そこからつながっているモニタリングポスト2台のうち1台が停止した。
 11月24日に行われた「中長期ロードマップ進捗」会見の冒頭では、東京電力の「福島第一廃炉推進カンパニー」の増田尚宏プレジデントが、「福島第一事故の反省を踏まえて、緊急時の組織の対応能力、運用力を向上させるために、訓練を行ってきたが、今回の対応で積み重ねてきた成果が発揮できた」と胸を張った。
 しかし、そうとは言い切れない実態も12月2日までの取材で見えてきた。

○増田プレジデント、福島民友の報道内容知らず

 11月24日の会見の席では、NHK記者が福島民友のものと思われる報道(*)をもとに、福島第二原発の2〜4号機で使用済み燃料プールから漏れた水溜まりが11箇所あったことを問うた。すると、画面に映った増田氏は身振り手振りと首振りによって、「今、福島第一の人間に確認をしたところ、どの報道か分からないが、ダクトから漏れたという理解でよい」と回答。その場で資料(もしくは記事)を持って来させ、「2〜4号機から合計485リットルという評価になっています。申し訳ございません。私がちょっとわかっていませんでしたが」と回答した。知らなかったのだ。その後、その総量は再確認により「478リットル」になった。
 東電広報に内訳を確かめたが、(7)使用済み燃料プールから漏れた11箇所の水溜まりとは以下の通りだ(12月2日時点)。
・2号機で8箇所
・3号機で1箇所
・4号機で2箇所

○規制庁から明らかにされた4000リットル

 11月28日になると、使用済み燃料プールから溢れたのは478リットルの水溜まりだけではないということも、明らかになった。
 参議院議員会館で「川内原発30キロ圏住民ネットワーク」や「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」らが開いた「原発再稼働と地震・避難計画 院内集会&政府交渉」で、原子力規制庁の事故対処室の水野大・室長補佐の口から、(8)2〜4号機の使用済み燃料プールから計4000リットルの水が、使用済み燃料プール側面にあるダクトへ流れ込んだという事実が、こぼれ出たのだ。

○規制庁が知ったのは22日午後3時以降、本社広報は本日も知らず

 しかも、その連絡が東電からあったのは22日の午後3時から4時ぐらいだったと、集会後に後を追いかけた筆者の問いに答えた。また、水野室長補佐は、溢れた4000リットルが流れ込んだのは、使用済み燃料プールの水面から7センチ程度のところに、湯気を吸い込むために取り付けられているダクトだったという連絡を受けたことを明かした。
 この旨を東京電力広報に確認したところ、12月2日に至るまで、広報はそのことを福島第二原発から聞いていない。478リットルの他に聞いているのは、(9)サイトバンカーという建屋でも40リットルの水溜まりがあったことだと、公表資料にはないことを明かした。
 この旨を東京電力広報に確認したところ、12月2日に至るまで、広報はそのことを福島第二原発から聞いていない。478リットルの他に聞いているのは、(9)サイトバンカーという建屋でも40リットルの水溜まりがあったことだと、公表資料にはないことを明かした。

○22日、規制委員も国会も記者たちも知らず

 なお、11月22日には10時から原子力規制委員会が開催された。田中俊一原子力規制委員長は他の委員に「3号機のプールの上澄みの水を循環するスキマーポンプが一時的に止まって、1時間ほどで復旧しまして、特別なことはありませんでした」とだけ報告している。
 同日13時20分からは、衆議院原子力問題調査特別委員会が開催された。出席した田中委員長は水漏れ11箇所の件は知らないので、国会にも報告を行っていないと、28日の集会で水野室長補佐が答えている。
 さらに17:30からは記者会見も行われ、水野室長補佐も出席していたが、記者への情報提供は行われていなかった。
 11月22日の地震で見られた9点の異常は、大事に至らなかったとは言え、そこで垣間見られた東電および原子力規制委員会・規制庁の情報提供のあり方は、提供先、質、タイミングともにバラバラで、依然として「福島第一事故の反省を踏まえ」ない深刻な状態ではないか。

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