【記事18141】東電「公表せず」続々判明 圧力容器 水漏れ 柏崎原発1号機 微量の放射能 事務棟の天井落ちる 緊急対策室ドア開かず(毎日新聞2007年7月28日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 東京電力は27日、新潟県中越沖地震の揺れのために拍崎刈羽原発(同県柏崎市、刈羽村)1号機の原子炉圧力容器から、放射能を帯びた水が周辺の作業用フロアにこぼれた可能性のあることを明らかにした。地震発生時、1号機は定期検査のために圧力容器のふたがあいていたためで、外部には漏れていない。あふれた水量は不明。この日、同原発を視察した社民党調査が求めた現状報告に対して明らかにした。東電は事前に把握していたにもかかわらず、これまで公表していなかった。
 新潟県中越沖地震の際、東京電力柏崎刈羽原発で、緊急時対策室がある事務本館の天井が、一部で落下していたことが27日、分かった。落下した天井板で通路がふさがれるほどの被害だったが、東電は公表していなかった。災害時の中枢機能の脆弱性が改めて明らかになった。
 事務本館は1号機の西南側にあり、1階に緊急時対策室、2階に総務部フロアがある。地震で2階通路の厚さ2センチの天井板が落下したが、けが人はなかった。また、緊急時対策室は入り口ドアが開かず、消防とのホットラインが使えなかった。
 東電はこれまで事務本館について「柱やはりに問題はなく、ガラス破損やひびが多数、ダクト落下」などと発表。だが、経済産業省原子力安全・保安院関係者は同社員から「平日に地震が起きていたら(落下した天井で)死者が出ていたかもしれない」と聞いたという。
 東電は保安院の指示を受けて26日に提出した改善計画に、09年度内をめどに「緊急時対策室の強化を図るべく、(事務本館の)耐性などの信頼性評価を行い、設計に反映するとともに耐震補強などの工事を実施する」ことを明記した。
 同社は「想定自体が甘かったことは認める」と話している。  【関東普慈、田中泰義】

 説明によると、1号機の燃料は検査に伴い、すべて使用済み燃料プールに移され、移動のためプールと圧力容をつなぐ水路が開けられていた。このため、両方の水に含まれる放射能は微量という。
 これまで、東電は全1〜7号機の使用済み燃料プールから水があふれたことを発表していた。しかし、1号機であふれた水の一部に圧力容の水が含まれていることは未公表だった。
 東電は「隠そうとしたわけではない。すべての号機で作業用フロアに水があふれたのは使用済み燃料プールが原因となっており、説明がしやすかった。1号機の圧力容器とプールの水は同質だったため特に紹介しなかった」と説明する。
 元原子炉設計技術者の科学ライター、田中三彦さんは「きちんと公表し、説明しないことは問題だ」と批判する。
 【田中泰義】

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