【記事31320】特集ワイド 原発新規制基準は安全守れるか 地震・津波想定は裁量次第 「時間切れ」で数値盛り込めず 審査担う専門家が足りない 電力業界は緩和要求一辺倒(毎日新聞2013年4月30日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 規制委の地震・津波基準検討チーム委員の藤原広行・防災科学技術研究所社会防災システム研究領域長は「想定次第で揺れの強さは2倍程度変わる。応力降下量、アスペリティー、破壊開始点は特に厳しく想定すべきだ」と語る。
 だが実際はどうなったか。旧原子力安全・保安院は福島第1の事故後、各要素の想定基準を作ろうと専門家を集めた意見聴取会で議論した。この席で藤原さんは、応力降下量の想定値として「中越沖地震」(07年)と同じ25メガパスカル(メガパスカルは応力の単位)を主張。保安院は根拠を示さずに2割減の「20メガパスカル」を掲示したが結論は出なかった。保安院廃止で公式の議論は消え、後継のはずの規制委の会合でも議題に上らなくなった。
 気になるのは、世界最大規模の東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)など8原発が並ぶ日本海側の検討対象に、日本海中部地震(1983年、Mw7.9)などを挙げるにとどめたことだ。規制委の検討チーム委員である谷岡勇市郎・北海道大地震火山研究観測センター長は「日本海側でもMw9級の地震・津波は否定できない」と指摘する。谷岡さんによると、日本海側は地震を起こす岩板のゆがみがたまる速度が遅く、Mw9が起きるとして1万年に1回程度だ。だが津波の発生が確認できるのは約3000年前で。もし前回のMw9が1万年前に起きていれば「次」が今年でもおかしくない。Mw9を検討せずに安心できるか。

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