[2013_07_26_01]島崎委員長代理に聞く 関電の耐震認識甘い 高浜・大飯 審査後回し(日経新聞2013年7月26日)
 
[テキスト文]
 原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理は25日、原子力発電所の耐震対策を巡り関西電力の認識が甘いとの考えを示した。日本経済新聞とのインタビューで「地下構造の重要性が、特に関西電力はよく分かっていただけていない」と批判した。規制委の審査は後回しになる見通しで、福井県の大飯、高浜両原発の再稼働を申請する関電が経営計画の修正を迫られる可能性も出てきた。
 島崎氏は元日本地震学会長で、原発周辺の活断層の調査を主導してきた。「地震の波は地下の構造を伝わってくる。地下構造は(耐震の)要で、きちんと調査してほしい」と述べ、関電に改めて調査を求めた。
 2007年に発生した中越沖地震では、柏崎刈羽原発(新潟県)の特殊な地下構造で揺れが数倍に増幅。この点を踏まえ規制委は新しい規制基準で地下構造の解析を求めている。しかし関電は大飯3、4号機と高浜3、4号機の申請で自ら調査せず、高速増殖炉もんじゅ(福井県)の調査結果などをもとに揺れは増幅しないと主張。島崎氏は「多分ここと同じだろう、では困る」と関電の対応を問題視した。
 関電は規制委が確認を求めてきた活断層の3連動や、福井県が試算した津波の想定を受け入れず「もう一度議論したい」と対決姿勢を強めている。島崎氏は「安全性を高めるのが最終的には事業者の利益につながる」とけん制した。
 島崎氏は関電以外も含めた各社の再稼働への申請内容を受け「事業者の個性が出ている」と指摘した。今後の審査に向け「応答が良ければ進展が早い。協力が必要だ」と語り、事業者の反応により期間に善がつくとの見通しを明らかにした。
 規制委との溝が深いままだと、関電の原発に対する審査ば大幅にずれ込みそうだ。関電は高浜を今夏、大飯を今冬までに再稼働する計画だった。実現のメドが立たないと赤字脱却の目標は見直しが避けられず、料金の引き上げや一段の合理化が課題に急浮上する。
 日本原子力発電敦賀2号機(福井県)直下の活断層を巡り、事業者や一部の専門家が「耐震強化などの工学的な手法で安全は保てる」と訴えている点で、島崎氏は「地震の時に大丈夫だったかという実証的な結果はばとんどない」と反論した。今後の基準の見直しには「将来的には考えたい」と含みを残した。
 敦賀などの断層の調査団の選任方法に偏りがあるとの外部の意見には「学会の推薦を受け、過去に審査に携わらなかった方という原則が信頼性の確保に必要だった」と説明。「(選任方法は)適切だった」と強調した。
KEY_WORD:事業者や一部の専門家_活断層は工学的な手法で安全は保てると訴え_:TAKAHAMA_:OOI_:原子力規制委員会:OOI_:有識者会合:島崎邦彦連動:CHUETSUOKI_:MONJU_:TSURUGA_: