[2020_09_02_04]青森・むつの中間貯蔵施設 安全基準「適合」 原発敷地外で初 規制委(毎日新聞2020年9月2日)
 
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青森・むつの中間貯蔵施設 安全基準「適合」 原発敷地外で初 規制委

 原子力規制委員会は2日、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が出資する「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」の中間貯蔵施設(青森県むつ市)について、国の新規制基準を事実上満たしていると判断した。原発の敷地外にあり、使い終わった核燃料を一時的に保管する施設としては、初めて安全審査を通過することになった。使用済み核燃料が増え続けた場合の保管先としての役割を果たす。
 中間貯蔵施設の正式名称は「リサイクル燃料備蓄センター」。原発の核燃料は使い終わっても熱を持っており、原発内のプールで冷やされている。その後、プルトニウムが取り出され、核燃料に再利用されることになっている。しかし、その再利用を目指した国の「核燃料サイクル政策」が進んでいないため、どの原発でも使用済み核燃料がたまり、プールが満杯に近づきつつある。
 電気事業連合会によると、2020年3月末現在で保管している使用済み核燃料の量は、東電が福島第1と第2、柏崎刈羽で計6150トン、日本原電が敦賀と東海第2で計1000トンになる。両社のプールなどで保管できる容量のうち、それぞれ87・2%、74・1%に達している。
 東電と日本原電はこうした状況を見越し、RFSを設立した。RFSは3000トンを保管できる今回の施設を計画し、13年に完成させた。大気で冷やす「乾式」という保管方法なので、停電しても冷却機能を維持し福島第1原発事故のように核燃料が溶け落ちることはないとしている。地元自治体との協定により、保管期間は最長50年間になる。
 規制委の安全審査では、津波対策が焦点の一つになった。RFSは当初「津波は到達、流入しない」と主張していた。その後、高さ16メートルの敷地に23メートルの津波を想定して安全対策をすることにより、新規制基準に達すると認められた。
 施設は、21年度以降に使用済み核燃料の受け入れを目指す。ただし、受け入れは、東電と日本原電の原発で生じたものだけ。使用済み核燃料から再利用できるプルトニウムなどを取り出す日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の完成は、早くても22年4〜9月の予定だ。再稼働が進んでも各原発の使用済み核燃料が減る見通しは立っておらず、保管先の確保という電力各社の課題の解消には、ほど遠い。
 このため、RFSは2000トンを保管できる第2の施設も計画している。一方、使用済み核燃料は、原発内にあるプールで一定の間隔を空けて保管している。他の電力各社は、間隔を狭めてより多く置けるよう配置し直す「リラッキング」という方法を取り入れたり、プールで温度を下げた後の使用済み核燃料を保管する「乾式」の貯蔵施設を敷地内に整備したりして、保管場所を確保しようとしている。【塚本恒】
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