[2020_01_09_01]トリチウム水「福島県処分」への反発認識 東電幹部 自社判断の可能性示す(福島民報2020年1月9日)
 
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トリチウム水「福島県処分」への反発認識 東電幹部 自社判断の可能性示す

 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水を巡り、東電幹部は八日、福島民報社のインタビューに対し、福島県から処分を始めることは認められないとする県民の反発について「承知している」と答えた。国が今後示す方針に処分場所が含まれない場合、東電自らが判断する可能性を示唆した。
 小早川智明社長ら東電幹部に対し、福島民報社は処理水の処分方法や開始時期を主体的に判断するよう求めた。小早川社長は政府の小委員会が科学的安全性や地元の復興、風評対策などさまざまな観点から議論している点を挙げ、「当事者として何らかの判断をしたり、提案したりする立場にない」との従来の見解を改めて示した。
 処理水の処分が福島県のみで行われたり、福島県から始まったりすれば、県民にさらなる重荷を背負わせるとの指摘に対しては、「国が大きな方向性を示した後、それに従ってどのように対処していくかが(原発の)管理者としての責任だと考えている」と述べるにとどまった。
 大倉誠常務・福島復興本社代表は「答えとしては(小早川)社長が申し上げた通り」と前置きした上で、「福島県から始めてはいけないとの声を肌で感じている」との認識を示した。国が打ち出す方向性に放出場所が示されない場合、「私どもが何らかの答えを出す場面が来るだろう。その最前線にいると覚悟している」と語った。
 処理水の処分方法を巡っては、政府の小委員会での議論が大詰めを迎えている。経済産業省は取りまとめ案で「海洋放出」「大気への水蒸気放出」「海洋放出と水蒸気放出の併用」の三案を示し、県民が議論の行方を注視している。どの処分方法を採用したとしても、福島県で最初に放出された場合は風評が拡大する恐れがある。福島県での放出に反対する県民の声は根強い。
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