[2020_03_07_02]第一原発トリチウム水処分場所 経産相「福島ありき」否定(福島民報2020年3月7日)
 
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第一原発トリチウム水処分場所 経産相「福島ありき」否定

 梶山弘志経済産業相は六日までに福島民報社のインタビューに応じ、東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分場所を巡り、「現時点では『福島ありき』ではない」と明言した。処分が福島県のみで行われたり、福島県から始まったりした場合の風評再燃への根強い懸念に一定の理解を示した上で、見解を明らかにした。処分場所や時期は幅広く関係者の意見を聞き、政府の責任で決定するとした。
 政府の小委員会は二月、大気への水蒸気放出と海洋への放出が現実的な選択肢とした上で「海洋放出の方が確実に実施できる」と政府に提言した。これに対して漁業関係者らから海洋放出に反対する声が上がっている。
 梶山氏はインタビューで「私は隣の茨城県出身。海洋はつながっているし、漁業者や水産加工業者の苦しみも分かっている」「東電としっかりと責任を共有し、福島の皆さんに責任を持った上で結論を出していく」と強調した。ただ、「(どこで処分するにしても)風評対策がかなり必要になる」と述べた。
 具体的な処分場所や時期などについての言及はなかったが、「最終的には政府が責任を持って結論を出していく。現時点では『福島ありき』ではない」とした。
 一方で、福島第一原発敷地外に処理水を搬出する選択肢については「かなりの時間と調整が必要と(小委員会の)報告書に書かれている。法令に準拠した設備が必要になり、関係自治体に了解を得たり、協定を結んだりする必要がある」と指摘。小委員会提言と同様、難しい課題があるとの認識を示した。
 東電は福島第一原発敷地内での貯蔵タンクによる保管は、二〇二二(令和四)年夏にも計画容量の上限に達すると試算している。経産省や原子力規制委員会は、仮に海洋放出する際には政府の方針決定、規制委による認可、東電による準備工事などの事前準備に二年程度を要するとみている。
 事前準備に必要な二年程度を考慮すると、今年夏までに処分方針を決定する必要があるとの見方もある。福島県の復興を最重要課題に掲げる政府が、梶山氏の見解を含めて処分方針をどう最終判断するかが焦点となる。
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