[2020_10_26_02]トリチウム水海洋放出への波紋 地域で活動する人たちは(福島県)(テレビユー福島2020年10月26日)
 
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トリチウム水海洋放出への波紋 地域で活動する人たちは(福島県)

 トリチウム処理水の処分方法をめぐって、対立に発展しかねないケースも見られるようになりました。この事態にどうアプローチしていけばいいのか。地域で活動を続けてきた2人に、そのヒントを聴きました。
 いわき市の小松理虔さん。これまで地域の課題を中心とした企画や執筆を行ってきました。処理水をめぐる一連の経緯を見て小松さんは、「議論すべきことが議論されていない」と感じています。
 小松さん「廃炉とは具体的に何を指すのか、あの原発のある地域をどう復興させていくのか、漁業をどう再生していくのかということと、トリチウム水の放出というのは僕は同じ俎上にあげるべき問題だと思っているので、流す流さない以前に考えなくちゃいけない問題ももっとあったはず」
 食べることを通じて福島の漁業を知るイベントも続けてきた小松さん。処理水をめぐるこの2年間をこう指摘します。
 小松さん「海洋放出ありきという結論を押し付けるために空回りしてきた2年間だなと感じています」
 住民から意見を吸い上げて議論が進んでいれば、もっと前向きな解決ができたかもしれないと話します。
 小松さん「これは大きな課題なんだけど、課題を解決するためにいろんな人がアイデアを出して地域がより豊かになるチャンスだったと思う」
 大詰めを迎える処理水の議論。海洋放出が決まった場合の今後については…小松さん「本当に廃炉なくして復興なしなのかなと本当に大事なのは地域の復興や再生だと感じています。風評被害対策というと、あたかも首都圏の大消費地に向かって、ポジティブな情報を流せばいいと考えがちですけど、かつてあった暮らしや新しく作ろうとしてる暮らしを取り戻すことこそが、風評被害対策であり、復興だと思っている」
 原発事故をきっかけに生まれた対立や分断。それを乗り越えるために、対話の活動を続けてきたのが、弁護士の菅波香織さんです。処理水の問題をめぐっては自身も公聴会に参加し、国の担当者を呼んで対話の場を設けるなど積極的に活動してきました。
 菅波さん「国が対話を求めてたのかなというと、求めてなかったというふうにしか見えない」
 決定を急ぐ国について、こう話す菅波さん。対話することで、問題が良い方向に解決するチャンスもあったと感じています。  
 菅波さん「対話はいろんな方の意見を聞いて発展するというか、よりよい方向というか。そうならなかったんだと」  
 現状のまま議論が進むことは、「残念」と話す菅波さん。今後の議論に必要なことは…。
 菅波さん「誰かが被害者になってしまうということだけは避けたいと思っていて、だとすると自分たちで決めたことだから受け入れるとかそういうマインドになれるような取り組みをしなきゃいけないと思っています。
最終更新:10/26(月) 21:48
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